第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
『ジャミさんの衣装、一番キラキラ..』
マレウス『確かにな。見違えたぞ、バイパー』
ケイト『一際豪華だよね。いいね~上がる♪』
ジャミル『そ、そんなに見られると居心地が..』
ユウ『ニアッテマスヨ、変態先輩』
ジャミル『ユウ、いい加減殴るぞ』
ユウ『力比べなら負けませんよ?』
ジャミル『....』
トレイ『まあまあ二人とも、その辺にしとけ。それより、あちこちに花火の刺繍がしてあるってことは、この花火大会用の衣装なのか?』
ジャミル『はい。アジーム家では毎年、祭りに合わせて新しく衣装を作るんですよ』
カリム『うちで働いてくれてる人達の分も作って、みーんなでヤーサミーナ河 花火大会を楽しむことにしてるんだ!』
トレイ『裾も袖も丈が長いが、着てみると涼しいのが意外だ』
ジャミル『日差しが強いので、布地で遮った方が、体感温度が下がるんです。生地も通気性の良いものを使っていますので、清涼感があると思います』
トレイ『確かにな。特に頭への直射日光を、このバンダナが遮ってくれるのは、ありがたいよ』
『鈴..』
ケイト『綺麗な音色だよね』
ジャミル『鈴の音は邪気を払うとされているんです。花火大会は祭礼の一面もありますから』
ケイト『そういえば、さっきも気になったんだけど..どうしてジャミルくんの衣装だけオレたちと違うの?すっごく派手だよね』
ジャミル『今年、アジーム家は花火大会の主催ですから..カリムの従者である俺も華美な装いになったそうです。こんなに沢山の装飾品を用意されたのは初めてで、俺も少し驚きました』
自身の纏う衣装に少しぎこちなく笑うジャミルの横で、はあるものに目がいき、ツンツンと軽くつつき始めた
ジャミル『ん?ああ、これはランタンだ。魔法で点灯するようになってる。花火大会は夜だからな。何かアクシデントがあった際、大事な客人をアテンドできるよう、携帯している』
トレイ『このバンダナ、お洒落な上に手触りも凄くいいな。普段使い用に、買って帰ろうか』
ジャミル『この柄の布でしたら..1枚、数十万マドルですね』
トレイ『そ、そんなにするのか!?』
ジャミル『その布は、ヤーサミーナシルクと言いまして、絹の街を象徴する織物なんです』