第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
『..あ、ツノ太郎、あの彫刻好きそう』
指差す先には噴水の上に建てられた孔雀の彫刻があり、それを見たマレウスの瞳が爛々と輝いた
マレウス『おぉ!この噴水彫刻は見事だな。ガーゴイルではないが、興味深い。もっと近くで観察するとしよう。お前も来い、』
『ん』
マレウスの差し出した手をとり、二人で噴水に近寄っていく姿に、突然ジャミルは大慌になり始めた
ジャミル『あ!マレウス先輩、、濡れてしまいますよ!俺が傘をさします!少々お待ちを..』
小脇に抱えていた傘を取り、さしに行こうとしたその時、ジャミルの目には全く濡れていない二人が映っていた
ジャミル『..ん?噴水の水しぶきが、マレウス先輩たちを避けている!?』
マレウス『この程度、魔法で造作もない。それに、この僕が自分はおろか、大切な連れを濡らすわけないだろう。
それより大丈夫かバイパー。濡れ鼠のようだ。いくら暑くてもそのままでは風邪を引くぞ』
『ツノ太郎、ありがと』
マレウス『ふ、当然のことをしたまでだ。僕の手の届く範囲なら、どのようなものからも守ってやる。お前は何の心配もなく好きに振る舞えばいい』
『ん..』
マレウス『見てみろ。噴水で、孔雀の尾羽を表現している。良くできているな』
ジャミル『毎時間、勢いよく水が吹き出します。特に、夜にはライトアップされていて、カラフルな孔雀のように見えますよ』
マレウス『面白い趣向だな』
『きっと綺麗だよ』
夜の噴水を想像していると、運河に落ちたときのべたつきが我慢できなくなったグリムが勢いよく噴水の周りの池に飛び込んだ
気持ち良さそうなグリムに、オレも!と駆けていきそうなカリムを、これ以上面倒ごとを増やすな!とジャミルは必死に止めていた
『ラクダさん..ゾウさん..キリンさんも..』
ユウ『まるで動物園みたいだね。他の公園もこんな感じなんですか?』
ジャミル『いや、このアジーム公園が特別なだけだ』
トレイ『ん?今..アジーム公園と言っていたが..』
ケイト『もしかして、ここって..』
ジャミル『はい。この辺りは全部、アジーム家の私有地になります』
『『『えええーーー!!??』』』