第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
申し訳なさそうに表情を曇らせると、それを見たマレウスは少し考えた後、優しく微笑み帽子の上から頭を撫で始めた
マレウス『..いや。僕も少し気が急いていたようだ。確かに貴重な経験は普段味わえないからこそ貴重なのだな。お前への贈り物は別のものにしよう』
『ん..ありがと』
ケイト『ちゃんのおかげで色々助かったぁ..』
トレイ『今日は大活躍だな』
ジャミル『(び、びっくりした..)』
ユウ『にしても人が多いですね。あれ殆ど観光客ですか?』
ジャミル『地元民もいるが、そうだな。だがこれから気温はぐんぐん上がるから人の数も減る。観光するには歩きやすくなるぞ』
トレイ『なら、より暑さ対策をしないとな。さすがにこの格好で街歩きをするのは辛いからな』
カリム『そのことも心配無用だぜ!しっかり準備はしてあるからさ』
トレイ『どういう意味だ、カリム?』
カリム『それは後のお楽しみってことで!』
車が走り出して数十分、次第に車窓の景色は人通りの多かった街の喧騒から緑が広がる静かな住宅街へと変わっていった
グリム『おい、なんかでけぇ公園があるんだゾ』
カリム『みんなで散歩してみるか?ここを通り抜ければ、すぐにオレの家なんだ~』
ケイト『あ、それいいね。綺麗な公園だし、良い写真撮れそう♪』
ジャミル『分かりました。車を止めてもらって、ここからは歩いて向かうことにしましょう』
ジャミルは運転手に声をかけると、車を公園の入り口で停車してもらった。一同は車を降りて公園の中を歩き出した
マレウス『車の外は、やはり暑いな』
トレイ『ああ。遊歩道に屋根があって、助かったよ。日陰の場所を、快適に散歩できる』
カリム『この道を真っ直ぐに歩いていけば、オレの家に着くんだ!』
ユウ『、しんどくない?』
『全然。公園の空気、自然いっぱいで気持ちいい』
のびのびと腕を伸ばしながら、人のいない開放的な公園の空気をめいいっぱい吸うと、自然の優しい香りが胸に広がった
ジャミル『には街中よりもこっちの方が良かったみたいだな』
『でもお祭りの屋台も見たい』
ジャミル『分かってるさ』