第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
トレイ『成る程..防犯のためか。その発想はなかったな。俺も気をつけるよ』
ユウ『ケイト先輩、そういうのちゃんと考えてるんですね』
ケイト『そりゃあね。3人に何かあっちゃ大変だし、何よりちゃんの写真には一層の注意が必要って事ぐらいはオレでも分かってる』
『ありがと..ケイさん..優しい』
ケイト『危ない目に遭ってほしくないからね。その代わり、後でいっぱいそっちに送っちゃうから、覚悟しといてね♪』
『ん、楽しみ』
カリム『早く出発しようぜ!家まではあっという間に着くからさ』
カリムの呼び声に一同は迎えの車に乗り込むことにした
ジャミル『..ほら、手を貸せ』
『ん』
ジャミル『天井に気を付けろよ』
『ん』
ジャミルは乗り込もうとするの手をとると、流れるような所作で優しく車内へとエスコートした
ユウ『僕らと若干扱いが違いません?』
ジャミル『気のせいだ』
車内は冷房がかかっていたおかげで非常に涼しく、火照った体で歩いていたユウたちには快適だった
カリム『車内は涼しいだろ?みんな、ゆっくりくつろいでくれ』
トレイ『そう言われても..こんなVIP並みのもてなしをされると緊張してしまう。お付きの護衛に守られ、超高級車で移動なんて、普通の学生ではあり得ないことだからな..』
慣れない高級車での移動に苦笑いのトレイの横で、マレウスは黙ったまま窓の外をじっと見つめていた
『ツノ太郎?どうしたの?』
ジャミル『先程からずっと難しい顔をされていますが?..はっ!まっ、まさかここまでのことで、何か気分を害されるような粗相がありましたか!?』
トレイ『..というより、ぼーっとしてないか?遠くを見ているぞ』
ケイト『そういえば、車に乗ってから何も言わないよね..』
黙ったままのマレウスに、トレイとケイトはもしや車酔いをしたのでは!?と焦り始めた
ユウ『ツノ太郎大丈夫!?袋もあるよ!』
『ユウ、みんなも大丈夫。顔色悪くないから..ね、ツノ太郎』
マレウス『ああ。まったく騒がしいな。僕が乗り物酔いをするわけないだろう。車というものを、ゆっくり堪能していただけだ』