第1章 *ハッピービーンズデー*
『分かってる。じゃあ、行くね』
武器のムチを拾い上げると、レオナに手を振りながら林の奥へと駆けていった
一方残されたレオナは、去っていく姿を見えなくなるまで見つめた後、先程まで昼寝をしていた木の上へと戻っていった
レオナ『まぁ、あの場で脱落させてそのまま抱き枕にしてやっても良かったが..』
"だって、この行事なら何も気にせず楽しめるから"
レオナ『...まぁ、精々楽しめよ』
実をいうと、レオナはが農民チームの生徒を次々と撃破していた姿を遠くからずっと見ていたのだ。その楽しそうな表情を脳裏に蘇らせフッと笑うと、目を閉じて昼寝を再開した
植物園前
『くんくん..良い匂い。お肉かな?』
植物園へとたどり着くと、中から漂ってくる香ばしい匂いに鼻を動かした
匂いに誘われるように近づきそっと中を覗き込むと、中央の広場でカリムが大きな肉を焼きながら、他の農民チームと一緒に和気あいあいと食べていた
『う~ん。カリムさん、それだと狙ってください状態だよ』
?『ほんとにその通りだ』
『!!』
バッと振り返ると、そこには怪物専用服に身を包んだジャミルが背後に立っていた
『ジャミさん!良かった..怪物チーム』
ジャミル『あぁ、俺もお前が怪物チームで助かったよ。ここまでよく無事だったな。何人か仕留めてきたのか?』
『んとね、ここに来るまでに10人くらい』
ジャミル『!!思ったよりも倒してるな。魔法がなくてもお前は優秀みたいだな』
『えらい?』
ジャミル『ああ、えらいぞ』
よく頑張ってるな、と頭を撫でて褒めると嬉しそうに顔をほころばせる。そんな姿にジャミルは強ばっていた肩から力が抜けた
『もしかしてあのお肉ってジャミさんが持たせたの?』
ジャミル『よく分かったな。そうだ、あいつなら必ずどこかであの肉を焼いて、他の農民チームと食うだろうからな』
『んふふ、ワルいジャミさん』
ジャミル『作戦だよ』
互いに含みのある笑みで見つめると、ジャミルはを抱き締めながらそっと耳元に唇を近づける
ジャミル『今からあいつらを一網打尽にする。にも着いてきてほしい..ダメか?』