第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
他の面々も同じらしく、そこでは大変なことがたくさんあって、でも心躍るほどの楽しさがあったことを概念的に体が覚えているはずなのに、それがどこだったか全く分からないでいた
何故か周りの景色や互いの姿が色鮮やかに見えたり、着慣れた制服に違和感を持ったりと不思議な感覚だけが残っていた
ユウ『先輩たちもうろ覚えって感じだね..はどう?なにか思い出せる?』
『ううん。みんなで楽しいことしたのは覚えてるのに..むぅ、よく分かんない。
それと、大好きになった人がいた、気がするんだけど...』
ユウ『え"っ。なにそれ誰それどこの馬の骨どこの野良犬?』
『んーーー...白と、黒と..オレンジ?』
モヤがかかった頭の中、ぼんやりと浮かぶやたら背の高く紳士ぶった誰かの姿を思い出そうとする
『..やっぱり分かんない』
ユウ『思い出したら教えてね。あとで締め..お話ししたいから。まあ、何はともあれ全員無事に揃ってることだし、ひとまず安心していいかもね』
セベク『全員?確かにいつも通りの、マレウス様とその他だ。しかし..僕たちはこれで全員だったか?さっきまで、他に誰かいたような気が..』
チュ
その時、レオナ・ジャミル・セベクの手に一瞬の柔らかい感触と謎のリップ音がした気がしてぞわりと背筋が震える。どこかされた覚えのある感覚に3人は自身の手を見ながら、なんとも言えない感情に首を傾げた
ジャミル『...なんだかチュッというリップ音が聞こえたような..』
レオナ『ああ。手の甲が痒くなってきた。
...ちっ、変な気分だ。とにかくおかしなことが起こったのは間違いない。全員一度学園に戻るぞ』
レオナの呼び声に全員が頷くと、何がなんだかよく分からない、それでも不思議と嫌な予感はしない心情のまま、古本市を後にした