第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
どこかうろ覚えの様子のまま、長い足であっという間に広場から姿を消すと、残された面々は完全に忘れていたことに対しての怒りと思い出してくれたことへの安堵で、体から力が抜け落ちそうになった
ゼロ『クゥーン、クゥーン..』
『ワンちゃん、これでバイバイだね。すごく寂しいけど、ワンちゃんと仲良くできて嬉しかった』
ゼロ『ワンワン!』
『んふふ..くすぐったい。そうだ、ちゃんと言えてなかった..ハンカチに気づいてくれて、みんなに知らせてくれてありがと』
ゼロ『ワン!』
『もしかしたらもう会えなくなるかもしれないけど、ワンちゃんのこと忘れないからね』
ちょんちょんと鼻の頭のカボチャを突いてやると、嬉しそうにまたひと吠えすると、の周りをクルクルまとわりつき、親愛の印に鼻同士をくっつけた
『お姉さん』
サリー『ちゃん..帰ってしまうのはとても寂しいけれど、元の世界でも元気でいてね』
『ありがと。お姉さんも、ガイコツさんといつまでも仲良くね。お姉さんの気持ち、いつかちゃんと伝わるから』
サリー『ありがとう。貴女も、ユウくんたちとずっと仲良く過ごしてね。私、貴女たちのやり取りを見るのとっても好きだったの。素直に好きという気持ちを伝えられる貴女たちが羨ましかった..』
『..もしまた会えたら..好きな人のことでいっぱいいっぱいお話ししよ?』
サリー『ええ..勿論よ』
いつかの再会を誓い、別れの握手を交わし互いに抱きしめ合いながら、恋する乙女たちは少し悲しそうに微笑んだ
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ーーーー墓場
ハロウィン・タウンの住人たちに別れを告げ、扉を見つけたと戻ってきた彼に連れられ、一同は墓石が並び立つ墓場の奥へと足を踏み入れた
ジャックが扉だと言って指し示したのは、他のものとなんら変わらない地面に大きく空いた扉つき墓穴だった
中を開けると穴の奥はかなり深いのか、魔法で明かりを灯しても底を知ることはできず、永遠と続いているように見えた。しかし、地上を吹いているものとは別の風が奥から吹き上がってきており、"別の何処かに通じている"ことは分かった