第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『さん。最後の我儘を聞いていただいてもよろしいでしょうか?
ハンカチを..貴女様の持っているその満月のハンカチと、我輩の持っているカボチャのハンカチを交換してほしいのです』
『ハンカチ?ちょっとシワになっちゃったけど、いいの?』
スカリー『はい。そのハンカチがいいのです。何度も我輩の涙を拭い、攫われた貴女様の危機を知らせた、これ以上ないほど価値のあるハンカチ。それを、我輩に"お貸し"してほしい。
そして.....いつかきっとお返しするため、貴女様に会いに行きます』
『いつか、きっと..?』
スカリー『ええ、いつかきっと。例えば今宵のような音楽とご馳走に囲まれて、誰もが浮かれて笑顔があふれるハロウィンの夜に..』
『.....』
明らかに何かを隠している。けれどそれを追及すれば、この愛しい時間を失ってしまう気がして、ただ頷くことしか出来なかった
互いのハンカチを交換すると、スカリーは酷く嬉しそうにしながら広げ満月の刺繍を目に焼き付けると、綺麗に畳み直し外から刺繍が見えるように胸のポケットにしまった
も真似して受け取ったハンカチを広げると、刺繍されたカボチャが顔を出し、その愛らしさと笑った顔が目の前の彼と彷彿とさせ、愛しい気持ちに笑みが溢れる
『私も、また会えたらちゃんと返すから、その時までずっと大事にする』
スカリー『ええ..また、ハロウィンの夜に』
『ん』
2人だけの約束を忘れないように、互いの目を見つめ合いながら、最後にもう一度優しいキスを交わす。丘を照らす満月の光が2つの影を色濃く地に伸ばしていた