第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『そ、そんなに近づいては..』
『だめ、だった?』
スカリー『いえ、我輩としては寧ろ嬉し..ではなく、このままでは..貴女様の唇に触れてしまいそうで』
さすがに口へのキスは躊躇うのか、上昇していく体温を誤魔化すように、乗り出してくる肩を押さえながら顔を逸らした
『....ごめんね。でも私、カボチャさんの瞳もカボチャさんのことも好きだから。もっと見たいの』
スカリー『へ?好、き...?我輩が?』
『ん、好き。カボチャさん見てるとドキドキするし、一緒にいるとすごく楽しい』
スカリー『..........〜〜〜ぅ///』
若干のタイムラグでそれがただの"好き"ではないことを肌で感じ、青白かった顔は沸騰したように真っ赤に染まっていった
『大丈夫?お顔真っ赤』
スカリー『そ、そんな顔で好きって言うから..』
『私、好きになった人には好きって言うことにしてるの。自分の気持ち、ちゃんと伝えたいから』
スカリー『それは..ユウさんたちよりも?』
『?ユウもレオさんもセベクもジャミさんもみんな大好き。カボチャさんのことも、同じくらい好き』
比較などできない。彼らと同じくらい好きというのは、なりの最大の愛情であったが、悔しいような嬉しいような相反する感情が押し寄せ、スカリーは複雑そうに視線を落とした
スカリー『..そうですか。そうですよね..』
『カボチャさん?』
スカリー『いえ、何でもありません。ただ、本来賜ることのない麗しき貴女様からのお言葉。その想いにしっかり応えねば紳士の名折れというものと思いまして。
我輩も同じ気持ちだとちゃんと伝えましょう』
『ぇ..んぅ..』
目の前の体をギュッと抱きしめ、花のような香りがする長い黒髪に鼻を寄せて軽く吸うと、ランタンの灯りのように温かいものが全身に広がっていく
スカリー『優しい匂いですね。まるで貴女様そのもののようです。
ねえ、素敵なお方。どうか我輩の想いを受け取っていただけますか?』