第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
胸の奥を甘く締め付ける熱い感情に声をあげそうになるのを必死で抑えると、ズレてしまったサングラスを直して大きく息を吐いた
スカリー『はぁ..その顔』
『ん?』
スカリー『その顔は、いけません..胸が苦しくなる』
『ぇ、やだった?ご、ごめんなさい..』
スカリー『いえ、違うのです。我輩が苦しいのは決して不快や苦悶というものではありません。
これは、そう....
まるで...運命の人と巡り会えたような、温かく心地よい愛しい痛みなのです』
長い腕に抱き寄せられ、嘘偽りなく贈られた言葉がまるで何の混じり気もない澄んだ水のように、の心に入り優しく満たしていく
『(優しい人...可愛くてカッコよくて、ハロウィンが大好きで、そのためにいっぱい頑張れる素敵な人。
私、この人のこと好きなんだ..)』
いつの間にか抱いていたユウたち同じ"大好き"という感情が体を巡り、はその愛おしさに彼の頬に手を添えた
月光が照らす横顔には、いつも隠されていた瞳が透けたサングラスの奥で鮮やかに光っていた。1枚隔てていても分かるその美しさに、はもっと見たいという欲求に駆られる
スカリー『..さん?』
『一個、お願いがあるの。いい?』
スカリー『はい。なんなりとどうぞ』
『.....カボチャさんの瞳、見せてほしい』
きっとすごく綺麗だから、と甘えた声でねだると、スカリーは嬉しさと恥ずかしさで頬をほんのり染めながらサングラスに手をかけた
スカリー『い、いかかでございましょう?』
『......』
黒い隔たりがなくなり露わになった2つの切れ長の瞳。まるでハロウィンをそのもののようなカボチャ。または孤独な夜を照らしてくれるランタンの灯
瞳孔の周りに浮かぶぐるぐるとした輪は見る者を惹き込み、まるで闇の奥へと誘っているかのようだった
『ぁ..すごく、綺麗....キラキラしてて、あったかい色』
ようやく見ることができた彼の瞳は想像以上にの心を奪い、その美しさをもっと近くで見たいと身を乗り出した