第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
グリム『ぷはっ。おいっ!前にいるジャックの骨が刺さるし、後ろにいるの足が当たってる。このバスタブ、乗り心地最悪なんだゾ!
ぐるぐるに縛られてなきゃ、すぐに降りてやるのに..!』
『ぁぅ、ごめん..』
ユウ『バスタブが歩いてることにビックリだけど、フラフラしてるから酔いそう..ぉぅ..』
スカリー『どうかご辛抱くださいませ。素敵な皆様を一緒に運べる方法がこれしかなかったのです』
グリム『ふぬぬ..気取りやがって!こんな狭いバスタブの中じゃなかったら、スカリーなんか丸焦げにしてやるのに!!』
スカリー『ああ。それはそれは恐ろしい』
グリム『..なあ、オレ様たちいつまでこのままなんだ?っていうか..どうなっちまうんだ..!?』
スカリー『ああ、なにも心配なさらないで。この美しい場所で、暫くの間静かにお過ごしいただく、それだけでいいのです。どうかハロウィンが終わるまで、ここでじっとしていて..ね?
それに、これなら貴女も"1人"ではない』
バスタブの中で見上げるの頭を優しく撫でると、サングラスの奥の瞳がスウッと細まる
『カボチャさん..』
ユウ『だから触るなって言ってんじゃん。ああもう..』
縛られているため手を払い除けられないことに、苛立ちを募らせながら拳を握りしめる
その時
わおーん!!
グリム『ふなっ!?今の声は..!』
静寂な空気を裂くように、町の方から響く犬の遠吠え。その聞き慣れた鳴き声にグリムとは耳をピンと立て後方を振り返る
『ワンちゃんだ』
ユウ『はあ..やっと助けが来た』
スカリー『ああ。本当に優秀な方々だ。もう見つかったようですね。ですが..貴方がたは渡さない。ハロウィンは我輩のものだ..!』
奥歯を噛み締め遠吠えの方角を睨みつけると、バスタブを大きな墓の近くで停め、隠してあった大きな袋をグリムの前にそっと置いた