第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
ロックが去った方向からまたもや聞こえてくる喧騒を背に、スカリーは小さく息を吐くとを支えながら立ち上がり、ハサミをぽいっと遠くに放り捨てた
スカリー『お怪我はありませんか?』
『ぁぅ..ぅぅ..っ、あ、りがと..』
ようやく自分の身に起ころうとした事が理解できたのか、じわじわと視界が揺れて熱い雫がポロポロと落ちていく
泣いてしまったを長い腕に閉じ込めると、宥めるように優しく頭を撫でる。先程の怒りに満ちた声が嘘のように、甘く温かい囁きが耳を優しく包む
スカリー『怖い思いをされましたね、お可哀想に..女性にとって、髪は命。麗しき貴女の"命"を守ることができて良かった。
本当に、間に合って良かった..もう大丈夫ですよ』
『ぅぅっ..ぐすっ..』
スカリー『ああ、そんなに泣かないで素敵な方。涙で貴女が溶けてしまったら、我輩の胸はナイフに裂かれたように苦痛に苛まれてどうにかなってしまう。
大丈夫でございます。あの御三方も、この騒々しさもすぐに鎮めて参ります。それに、こんな下品な振る舞い、ハロウィン・タウンに相応しくない!』
指の背で落ちる雫を拭い、スカリーはにここで待つように言い、1人で悪ガキ3人組の元へと歩いていく
道中、彼らの振る舞いに頭を抱えるジャックを視界の端で捉えると、拳を握りながら意を決して3人と彼らに翻弄される面々へと言葉をかけた
スカリー『皆様!ご静粛に!』
ショック『はあ?どーしてあたしたちがあんたの言う事聞かなきゃいけないのよ』
ロック『そうだよ。セーシュクにする理由がないね』
バレル『いーっだ!いっひっひ』
スカリーの制止の言葉にショックとバレルはおろか、殺気を食らったばかりのロックすら言うことを聞くことはなかった
それどころか悪戯はヒートアップし、町の住人もユウたちもほぼお手上げ状態にまで陥り、スカリーは仕方なく最後の手段に出ることにした