第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
バリバリバリバリ!!!!
周囲の魔力濃度が急激に上がり、空気がビリビリと震えだす。マレウスの怒りを乗せた魔力は頭上の空に雷雲を生み出し、ゴロゴロと唸りを上げて今にもこの地へと降り注ごうとしていた
他の2人に気を取られていた面々も、雷の音と膨れる魔力に気づき、マレウスが怒っていることに慌て始める
ユウ『ちょちょちょ..!!これやばいでしょ!?ど、どうにかしてくださいよ!』
レオナ『あ?...おいおい、こっちを見るな。なんで俺が鎮めてやんなきゃならねえんだ。めんどくせえ、黙ってればそのうち落ち着くだろう』
一番物事を冷静に見れて、かつマレウスと何とか張り合えそうな頼みの綱であるレオナに助け舟を求めたが、あっさりとその願いは却下された
『レオさん、でも...』
レオナ『お前も巻き込まれたくなきゃ、奴らが飽きるまで気配を消しとけ』
そう言うとポンと頭を叩いて、至極面倒くさそうにレオナはこれ以上巻き込まれないように広場の端へと歩いて行ってしまった
ユウ『ああああもう!!ごめん、ちょっとツノ太郎のこと宥めてくる!』
『ぁ、ユウ...気をつけてね』
目の前で死人一人二人出そうな雰囲気に居ても立っても居られず、ユウは仮にも友達として果敢にもマレウスの元へと走っていった
残されたは、ただ彼の身を案じながらそこで立ち尽くしかなかった
ロック『なあ、そこのお前』
『....』
ロック『お前だよお前。頭から兎の耳生やしたお前!』
『ぇ...?ぁ、私?』
背後からの声に振り向くと、仮面を外したロックが足元でピョンピョンと跳ねていた
ロック『そうだよ。おい、ちょっと屈め』
『ぁ..ん..』
今まで子供と接したことのなかったためどうしていいか分からず、おまけに周りで起きているパニックのこともあって、目の前の子供に警戒心を持ちながら、言われた通りその場で片膝をついてしゃがんだ
すると、ロックはの顔をまじまじと見つめ、その小さな手を伸ばすと目の前で垂れ下がっている長い黒髪の毛先をわしっと掴み勢いよく引っ張った