第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『お恥ずかしい話です。少し考え事をしていたもので..』
『ハロウィンのこと?』
スカリー『ええ。ハロウィンとは何か、今一度考えておりました』
セベク『ほう。考えを改める気になったか?貴様の考えるハロウィンは随分とつまらん内容だったからな』
スカリー『つまらない..』
『セベク、そんな風に言っちゃだめだよ』
セベク『事実だろう。お前もこいつの考えるハロウィンはつまらんと思っていたから、こうして僕たちとハロウィンの準備をしているではないか』
『つまんない、じゃなくて私達と思ってるハロウィンと違っただけ。こういうのがやりたいって思うことはダメじゃないでしょ』
セベク『むむ...』
スカリー『...伝統というのは、そんなに悪いことでしょうか?古きを尊び、大切に守り続けるのは、虚しいことですか?』
セベク『なんだ、突然真剣な顔をして。そんなに自分の考えを否定されたのがショックだったと?』
スカリー『いいえ。というよりも..ずっと信じて思い描いていたものが、もし現実と違っていたらと思うと怖いのです』
セベク『はっ!無益な問いだ。なにを悩むことがある?そんなことは貴様自身の問題ではないか』
スカリー『え?』
セベク『伝統を重んじる心も、理想を信じる心も、貴様の中にあるものだろう。それが疑わしく思えたと言うのならば、お前自身に理想を信じ抜く力がないのが問題なのだ。
怖いと言ったか?良かったじゃないか。ただの恐怖ならばいずれは克服できるだろう。自分自身を鍛え直すことによってな』
『ん、セベクの言う通り。私が怖いものはね、ただ怖いものじゃないの。ずっと前から何回も何回もぶつけられてきた。ここの中でぐるぐるしてて、絶対に取れないの』
セベク『....』
染み付いて離れないトラウマに、心臓がある場所を服の上からキュッと掴む。そんなの事情を少なからず知っているセベクは静かにその頭を撫でる
『でも、カボチャさんの怖いものは昨日初めて生まれたでしょ?それなら、まだ何とかできるよ。これからカボチャさんがどうしたいのか..自分を信じて考えていけばきっと大丈夫』