第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
ジャック『黒1色のハロウィン。色とりどりなハロウィン。これも意見が割れたようだね。ええと、最後はたしか..』
スカリー『はい、ジャック様。それは清貧でございます』
トレイ『ちょっと聞いてもいいかな。その清貧っていうのは具体的にどういうことだ?』
スカリー『そうですね..質素とも言い換えられるものでしょうか。
あの世を思う日に飲めや歌えの大騒ぎなど相応しくありません。粛々と、淡々と、いつ通り..いやそれよりもっと慎ましい食事でもって神経を研ぎ澄ますのです。そうしていつか自分がゴーストになる日を思う..これぞハロウィンでございます』
トレイ『やっぱり食べ物のことか。ハロウィンに清貧..ちょっと想像がつかないな』
リドル『それならパーティーのご馳走はなしということかい?』
スカリー『勿論でございます。馳走などにうつつを抜かしては、真面目にハロウィンという日に向き合うことができませぬゆえ』
トレイ『それじゃあお菓子も最低限で、キャンディやチョコレートぐらいってことかな』
スカリー『お菓子?はて、なぜハロウィンに甘味が必要なのですか?』
トレイ『え?なぜって..トリック・オア・トリートのためさ。君も知っているだろ?』
スカリー『トリック・オア・トリート?..ああ!悪質なゴーストを退去させるため、供物を差し出す際の合言葉ですか。ゴーストたちへの対策が必要という意見には我輩も賛成いたします。しかしそれがお菓子である必要はございません。
ご安心ください。我々魔法士が力を合わせれば悪質なゴーストたちなど敵ではありませんよ!ですから、そんな浮ついたものはハロウィンに不要です』
『『ハロウィンにお菓子なし!?』』
トレイ『それじゃあいくらなんでも寂しすぎないか?』
リドル『ああ、そんなハロウィンでは子どもたちが楽しめないよ!
確かにハロウィンのトリートは、元は悪質なゴーストをあの世に帰すためのものだった。でも、今はトリートを楽しみにしている子どもたちもたくさんいる。誰しもにとって最高のハロウィンにするため、お菓子を欠かすことはできない』
トレイ『そうだよな。それに子どもたちだけじゃなく俺たちだってお菓子があった方が楽しいだろ?作る方だって、ハロウィンのためのお菓子を何ヶ月もかけて考えるんだから』