第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『ムードを盛り上げる..ああ、つまり演出ということですね。そんなものがなくともハロウィンは十分に尊いものだと思いますが』
アズール『僕たちの故郷である海の中では、雰囲気作りのために音楽は非常に重要視される要素です。海を楽しむために、恋人たちが愛を伝えるために..そして行事を楽しむためにもことあるごとにみんなが歌を歌いますよ。
雰囲気作りを侮ってはいけません』
ジェイド『ええ。やはり特別な日には、特別に盛り上がる音楽がなければ。震えてしまうような恐怖も、踊りだしたくなるような楽しさも、音楽によって掻き立てられます』
ジャック『ふーむ。それも面白い意見だ』
人魚組の力説にジャックは興味深そうに大きく頷くと、その様子にスカリーは焦りを見せ始める
スカリー『まさか!踊るだなんて、そんな馬鹿騒ぎはとてもハロウィンにふさわしいとは思えません。雑音などハロウィンには不要です!』
ジャック『なるほど。次は何だったかな、スカリーくん』
スカリー『え、ええ..こほん。
ハロウィンに大切な要素の2つ目は素朴でございます。ハロウィンに過剰な装飾など無粋の極み。全く必要ございません』
ヴィル『素朴、ね。簡単に言うけど、シンプルなものにこそセンスが問われるわよ。その素朴っていうのは具体的にどういう内容を考えているのかしら』
スカリー『ええ。ハロウィンとは、常に真剣で厳かなものでしょう?ですからまず、一切の飾りを取り除きます。そして部屋の中を黒1色で塗りつぶし夜を再現するのです。
よすがはカボチャ1つのみ。虚ろな中に火を灯し、それのみを頼りに夜を耐える。さすれば這い寄るような恐怖を感じることができるでしょう..』
これぞハロウィンでございます。と高らかに言い放つスカリーの言葉に、またしても待ったがかけられる
それはありえないと言わんばかりのヴィルの一言だった
ヴィル『..は?黒1色!?ふざけないで!!』
『わわっ..』
ユウ『ビックリした?大丈夫?』
『ん、平気』
ヴィル『恐怖イコール黒?そんな野暮ったくて安直な考えでいいと思ってるの!?』