第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『貴女はもしや..サリー様!?』
サリー『ええ。そうだけれど..私のことを知っているの?』
スカリー『勿論でございます!サリー様はその聡明さでハロウィン・タウンを導いたと言われているお方。また、ジャック様への強い思いには感銘を受けるものも多く、我輩の村では大変に慕われております』
サリー『やだ..強い思いだなんて..』
ジャックに恋する気持ちを見抜かれ、サリーはその青白い頬をほんのり染めると、ふと視線の合ったジャックからさっと目をそらした
『(あのお姉さん、もしかしてガイコツさんのこと...)』
サリー『皆さんはジャックのお客様なのね。ハロウィン・タウンへようこそ。どうぞよろしく』
ユウ『よろしくお願いします』
『..よろしくね、お姉さん』
差し出されたツギハギの細い手を躊躇うことなくそっと握ると、ほとんど温もりはないがこちらを見下ろす優しい笑みが、直感的に悪人ではないとの頭に浮かんだ
サリー『優しい方ね。握手の仕方でわかるわ。可愛い女の子...あら、貴女ウサギさんなの?』
『ぇ、ぁ..帽子』
扉に吸い込まれて落ちたり、先程走ったりしたせいで、いつの間にかジャミルから借りた帽子を被らずに手で持っていることに気づく
『ん。私、兎なの...変、かな?』
サリー『そんなことないわ。ふわふわで小さくてとても可愛い』
『良かった(不思議な匂いのする人..)』
ジャミル『、いいのか?』
『ん。ここってツイステッドワンダーランドじゃないでしょ。だったら黒兎のこと絶対知らないから隠さなくても大丈夫』
守ってくれてありがと、と帽子を返され、ジャミルは複雑そうに受け取り自分の頭に被った
自分の物を身に着けさせていたことへの優越感がなくなったが、身分を隠さずにいられる方がいいだろうと、無理やり自分を納得させた
スカリー『サリー様はとてもお方と聞き及んでおります。お話しできて光栄です』
ジャミル『聡明、ねぇ..
サリーさん。俺たちはツイステッドワンダーランドという場所から来たんです。聞いたことはありますか?』