第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
ほんわかした雰囲気にバタバタと何人もの足音が背後から迫る。やっとのことで追いついてきたトレイたちはその場で荒く息を吐いた
トレイ『はあっ..はあっ..見失うかと思った..!』
ジェイド『ジャックさんの足がとても長いので追いつくのが大変でした』
レオナ『このどアホ。群れから離れて勝手に突っ走るなって言ってんだろうが!』
『ぁぅっ!..ごめんなさい』
コツンと小突かれ額に鈍い痛みが走る。片手で押さえながらわずかに滲む涙目で謝ると、"心配かけんな"とため息1つはいて今度は優しく頭を撫でられた
ジャミル『まったく..お前はいつもいつもユウたちに混じってトラブルに巻き込まれるんだから、少しは大人しくしていろ』
セベク『その通りだ。若様に迷惑をかけるな』
ユウ『僕の心配はなしっすか?』
『『『お前は物理でなんとかするだろ』』』
ユウ『仰るとおりで....あれ、そういえば約2名の霊圧が消えたような』
ジャミル『BLE◯CHか。放っておけ、そのうち来る』
ジャック『やあみんな。歓迎するよ。
ハロウィン・タウンへようこそ!』
キィ....
ハロウィン・タウン 広場
擦れた鉄の音を響かせ、町の入口であろう鉄門が開く。ジャックを先頭に中へと足を踏み入れると、そこには文字通り"町"が広がっていた
とはいえ全員が想像するような華やかで賑やかな雰囲気はなく、こちらの世界で言うところのゴーストタウンを連想させるものだった
ボロボロで傾いた建物、奇妙な石像やオブジェが謎の光を放ち、広場の中央にはトカゲの化け物の口から緑色の液体が噴水のように流れ出る。至るところに置きっぱなしの巨大なのこぎりや断頭台のような恐ろしい器具が更に恐怖を掻き立てる。そしてなにより人の気配すらなさそうな程静まり返った空気
歪でおぞましい光景に呆気にとられていると、唯一スカリーは別の意味で呆気にとられていた
スカリー『こ、ここが..夢にまで見たハロウィン・タウン。この静寂、この寂寥。この威厳。ああ..なんて美しい。まさに我輩が思い描いていた通りの、理想の街だ!』