第1章 *ハッピービーンズデー*
出発地点
『えっと..ここ、だよね』
事前に指定された地点に到着し、辺りを見回すが人の気配は全くなく一気に孤独感がその身を襲う
『1人..や..でも、頑張るもん』
何とかその恐れを取り払うように首を振る。すると、近くに小さな箱がポツンと置いてあることに気がつく
『これかな?先生が言ってたの』
バルガス『。お前にはスタート前から怪物側専用装備を渡しておく』
『いいの?』
バルガス『ハッピービーンズデーは魔法なしの肉体戦。さすがに男女差の戦力を考えなくてはならないからな』
『分かった。ありがと』
バルガス『とはいえ、譲歩するのはそこまでだ。後はお前自身の力で切り抜けろ!』
『前止めて..服はこれでよし。あとは...ムチ?』
武器と思われるムチを手に取り、適当に目の前の木に向けて振るうと、ムチはしなやかに伸びながら木に絡み付いた。
引っ張ってみてもかなり強力に巻き付いており、ある程度の抵抗には耐えられそうだった。そして、手元のボタンを押すと締め付けが勝手に緩まり、スルスルと元の長さに戻った
『..使いやすい。よし、頑張る』
気合いを入れた直後に開始の合図が聞こえ、は目の前に広がる林の中へと足を踏み入れた
『捕まえた』
?『うわぁっ!?いつの間に背後にいたんだこいつ!』
?『やべえ!怪物チームだ!』
?『しかも既に武器持ってんぞ!!』
開始早々から、林の中から農民チームの断末魔が響く。軽装の彼らにの振るうムチが容赦なく巻き付き、次々に脱落していく
『これで5人くらい?』
軽く息をはきながら、農民チームが目指すであろうコロシアムの方角へと林の中を進んでいった
『怪物..か...』
そんな小さな呟きに"君にお似合いだね"と、どこからか知ったような声が風にのって聞こえたような気がした