第4章 *グロリアスマスカレード*
『ねえ、鐘の人。私、このドレスとっても好き。鐘の人がどういう理由でこれを贈ったかは気にしない。だから、普通にプレゼントとして受け取るね。ありがとう』
ロロ『っ..//お前は、また..』
『誑かす?』
ロロ『ああ。お前と話したり触れたりすると、ここに炎が灯り私を焦がすのだ。それが私を苦しめ、自分ではいられなくなりそうで..』
『怖い?』
ロロ『恐怖などない。だが、この炎を消す方法が分からないのだよ。苦しみが..苦しみが...ん?』
『どしたの?』
ロロ『いや、前まで酷く苦しかった炎が今は何も..寧ろ温かささえ感じてくる』
感じたことのない温もりに戸惑いを隠せずにいると、急にステップが止まり、小さな手がそっとロロの胸に当てられた
『こうしたら、どう?』
ロロ『!何をした。温もりが、強くなっていく..?』
『何もしてないよ。でも、こうやって触れられると温かいってことは、鐘の人は優しい人なんだね。本当に冷たくて怖い人は、こうされてもきっと何も感じないもん』
鼓動の高鳴りが強くなるが不思議と苦しみも嫌悪もなく、ただ温かく包まれるような感覚が全身に広がる
決して魔法への憎しみが消えたわけではない。それでも目の前の小さく愛らしい魔法士の見せる笑顔に、どうしようもなく愛おしいという感情が溢れる
ロロ『(この気持ちを認めたくない。認めたくない、が)』
ふと会場の奥、誰もいないスペースに小さな男の子の姿が映る。それは短い銀の髪を揺らし、幼く無邪気な笑みでロロへと笑いかける
?『自分の気持ちに素直になって、お兄さま』
ロロ『...』
フワリと消えてく姿を追いかけることはしなかった。代わりに不思議そうに見上げるの体をそっと抱きしめた
『わ...』
ロロ『怖くないのか?』
『もう怖くないよ。
私は貴方を許さない。痛いことされた事も、騙されたことも全部忘れない。でも、貴方の気持ちをちゃんと考えたいし、知っていきたい。だから嫌いにはならない』
ロロ『私も同じだ。いつかこの世界から必ず魔法を消し去ってやる。その時は、どんな手を使ってでもお前を手に入れてみせる』
『楽しみにしてるね』
ロロ『ああ。とても楽しみだ』