第4章 *グロリアスマスカレード*
大好きな人たちと踊る楽しい一時に、は心からの幸せを噛み締めていた
はずだった
トレイン『』
『や』
トレイン『わがままを言うんじゃない』
『やなものは、や』
ふいっとそっぽを向いて完全拒否を示す。普段授業では見ない我の強さに、トレインは静かにため息をついた
事の発端は、が先程からNRCの生徒としか踊らず、他の学校の生徒からのダンスや会話の誘いには一切応じずに逃げていたことだった
それだけでなく、の拒否にユウたちが全く咎める様子もなく甘やかしていているため、余計に交流する気がなくなっていた
トレイン『知らない者への恐怖は分かるが、それでは交流会に連れてきた意味がない。身内だけでなくちゃんと他の学校の生徒とも交流しなさい』
『や』
トレイン『全く..お前たちも甘やかしすぎだ。大方、が自分達以外の者と関わるのが気に入らない、というところだろう。しかしそれでは彼女の今後に影響してしまう』
それは分かっているだろう、と睨まれユウたちは無言で目を逸らした。紛れもない図星である証拠だった
トレイン『..、何も全員と交流しろとは言っていない。せめて二人でいいから、他校の生徒と話してきなさい』
『どうしても?』
トレイン『どうしても』
『..むぅ』
頬を膨らませ足をタンと鳴らす。明らかに苛立っている様子にユウたちはハラハラしながら見守る
『..分かった。でも、二人だけだもん』
トレイン『そうか..では行って来なさい。たがもし変なことをされそうになったり危ないと感じれば、すぐに私達を呼ぶか逃げるんだ』
『ん』
小さく頷きドレスを翻すと、少し怯えた足取りで人混みの中へと消えていった
ユウ『よし、行くか』
デュース『僕も行く』
マレウス『僕も行こう』
トレイン『こら、お前たちはそうやってすぐにの元へと行こうとする。信じて待つことも愛情だ』
ユウ『ちっ..』
デュース『..はい』
マレウス『もし不埒な奴があいつに触れようものなら、そいつには特大の贈り物をしてやろう』
スゥとハイライトの消えた瞳で笑みを浮かべると、ユウたちも周りの生徒たちを強く睨んだ