第4章 *グロリアスマスカレード*
ポツリと呟かれた独り言にピクッと片眉を動かしスマホを仕舞う。ゆっくり顔だけ振り返ると少し離れたところで同じく先程の話を聞いていたロロが複雑そうな表情で腕を組んでいた
怪我を負った女子生徒の話とロロの独り言、その2つが頭の中で組み合わさり完全に理解したユウからはフッと表情がなくなった
ユウ『...』
ラギー『ユウくん。やるなら周りの目、気をつけなきゃだめっすよ?』
先程共に低い怒りの声を漏らした、獣人というのもあってよりハッキリ聞こえていたラギーも悪い笑みでコソッと囁いた
無言で頷くとツカツカと早足で歩きだすと、あっという間にロロの目の前まで行き、突然目の前に現れたユウに驚いた彼の胸元を掴みグッと引き寄せた
エペル『ユウクン!?いきなりロロサンの胸倉を掴むなんて..ど、どうしたの!?』
デュース『まさか昨日の事件が許せなくてロロ先輩を殴る気か!?ブッチ先輩、ユウを止めないと!』
ラギー『しししっ、まあまあ見てるっすよ』
ロロ『なっ、なんだね!いきなり掴みかかって』
ユウ『あの子の、のお腹に何をしたんですか?』
ロロ『は?』
ユウ『さっきの人達の会話に反応してましたよね?あの子のお腹に青あざが出来るほどの怪我を負わせたんですよね?何をしたんですか?早く言ってください、じゃないとこの場で殴り飛ばしますよ』
ロロ『待ちたまえ!そんなことをすれば、問題になって自分の首を絞めるだけだろう。それに一体何のことか分から、』
ユウ『早く言え』
瞳孔の開いた瞳が寒気を起こすほどの威圧感を放つ。これ以上のごまかしは許さないと言わんばかりの圧に、一瞬言い淀むも仕方なくゆっくりと口を開いた
ロロ『..彼女の..腹を、蹴った。だが故意ではない。あいつが悪いのだ..あいつが、私を誑かす呪いをかけようとして..っぐ!!』
胸元を掴む力が強まって、締まる感覚にうめき声が漏れる。目の前の瞳から光が消え、その奥に怒りや憎悪をまとった黒いモヤのようなものが渦巻いた
ユウ『は..?あの子が呪いをかけようとしてそれで蹴ったんですか?ふざけないでいただけます?あの子は人に呪いをかけるような子じゃない、勝手に貴方が魅了されて勝手に振り回されただけでしょ。それを呪いだとか言ってあの子のせいにするなんて』