第4章 *グロリアスマスカレード*
ドアの先に立っていた人物にグリムの全身の毛が逆立つ。明らかに敵意をもった様子に、ベットに座るにも緊張が走る
『グリム、どうしたの?』
グリム『オメーは来るんじゃねぇ!やい!何しに来やがった!』
ロロ『そう声を荒げるな。単に見舞いに来ただけなのだよ』
『!!鐘の人..』
立ち塞がるグリムの横を余裕ですり抜け部屋に入ってきたロロは、疲れこそ残っているものの割と涼し気な顔で小脇に大きな箱を抱えてベットへと近づいてきた
ロロ『調子はどうかね?あれだけ体力も魔力も削れたんだ。流石に動けないだろう』
『動けなくはないけど、魔力はまだあんまり』
ロロ『ふっ、そのまま使えなくなってしまえばいい。正義の邪魔をした悪党にはお似合いの結末だ』
ニヤリと笑いながら見下ろすロロに特に怒る様子もなく、じっと見つめながら少しだけ口端を上げた
『さっき葡萄もらったの。鐘の人が考えてくれたんでしょ?その..ありがと』
ロロ『っ//お前っ、魔力がまだというのは嘘だな!?また私に呪いをかけおって..っ!』
『??呪い?なにも、してないけど』
グリム『おい、いい加減出ていけ!に何かしようってんなら、このオレ様が相手になるんだゾ!』
今にも口から蒼炎を吹き出しそうなグリムに吠えられ、ロロは眉間にシワを寄せると渋々立ち上がり、持ってきた大きめの箱を差し出した
『なぁに?』
ロロ『舞踏会用の君の衣装だ。祭りのときに着ていたあれは、だいぶボロボロになっただろう』
『誰のせい?』
ロロ『...とにかく、あれではお前にとってもこちらにとっても不利益だ。なので"生徒会長"として詫びの印として贈らせてもらう』
『ありがと』
なんの疑いもなく箱を受け取り、嬉しそうに箱を撫でるに疑念が湧くが、そろそろユウが戻ってくる頃だと思い背を向けてドアへと向かう
ロロ『では失礼するよ。舞踏会に間に合うよう、せいぜい大人しく休んでいることだね』
『鐘の人、またね』
ロロ『っ..ふん』
こちらに顔を向けずに去っていくロロの耳はほんの少し赤みを帯びていた
『グリム、鐘の人がこの箱くれたの内緒ね』
グリム『..はぁ、仕方ねぇな』