第4章 *グロリアスマスカレード*
両手を広げて自身の体から分裂させた火球を放ち、3人へと猛攻を仕掛ける。マレウスたちは防御魔法で弾き返したり避けたりしていたが、今までの戦闘での疲労や花による魔力の吸収で、十分な力が発揮できない
捨て身で襲いかかるロロと疲弊しきった3人では、圧倒的にマレウスたちが不利な戦況だった
『なんとか、しなきゃ..私も、3人の、力に..』
一番ロロに近い位置に伏せるは、空気とともに伝わる火傷しそうなほどの熱と炎の明かりに顔をしかめながら、体を震わせながら上半身を起こしていく
『ぅっ..お花、邪魔、しないで..っ!』
足に絡みつき魔力を吸い取っていく花を掴んで引きちぎると、腹を押さえながら立ち上がり、戦いの激しさと誰も自分に気づいていないことに乗じて、こっそりとロロの背後へと回り込む
『(少しでもこの人を抑えられれば..)!?あれ..』
そっとポケットに手を入れるも、そこにあるはずの感触がなく焦りが一気に吹き出す
『(マジカルペン..あの時放り投げられちゃったんだった。どうしよう..)』
アズール『うぐっ..暑さにはあまり耐性が..』
イデア『アズール氏!』
『!!(アズさん!そうだ、アズさんは人魚だから暑いのだめなんだ。早く、早くなんとかしないと)』
ロロの纏う炎の熱が肌を渇かしていく程に、人魚であるアズールはこの中の誰よりも体力の消耗が激しい状態にあった。息苦しさにも似た感覚にふらつきを起こし、咄嗟に支えてくれたイデアがいなければその場で倒れていた
マレウス『シュラウド。お前はまだ動けるな?アーシェングロットを連れて下がっていろ』
イデア『えっ!?マレウス氏はどうするつもり!?』
マレウス『奴の狙いは僕だ。応えてやらねば』
真っ直ぐにロロを見据える真剣な横顔にイデアは小さく頷くと、アズールを支えたまま数歩後方へと下がった
マレウス『来い、フランム。僕が直々に相手をしてやろう』
ロロ『侮りおって..マレウス・ドラコニアァァァ!!』
怒号と共に炎が天井に届きそうなほどに燃え上がる。もはや、足元どころか鐘を吊るす木製の柱にさえ、ロロの炎なのか花なのか区別がつかないほどの赤で埋め尽くされた