第4章 *グロリアスマスカレード*
耳を掴む手が離れたのも束の間、鈍い痛みがの腹に走った。本人も無意識で咄嗟に足が動き、腹を蹴り上げたのだ
『ゔっ..ぁ"ぅ"..っ!!』
腹を押さえその場で体を丸めて痛みに耐えるの脳裏に、過去に受けた仕打ちが蘇る
"あんたなんて産まれてこなきゃよかった!!穢らわしい目でこっちを見ないで!"
"この呪われた忌み子が!!お前のせいで、なにもかもめちゃくちゃだ!"
『ぅっ、ぅぅ..っ..(痛い、痛い、怖い、助けて、助けて、ごめんなさい、痛い、ごめんなさい、助けて、ごめんなさい)』
フラッシュバックする記憶に体を震わせ、光を失った瞳から1滴の涙が溢れる。一方、ロロは掴まれた部分を押さえながら後ずさり、胸にくすぶる炎を消そうと荒く息を吐いた
ロロ『はぁ..奴らを誑かした呪いを私にもかけようとは..恐ろしい。まあいい、どのみち魔力を失わせてから私のものにする予定だったからな。さあ、花の中に連れて行ってやろう』
倒れたまま動かないへと手を伸ばす。だがその手は触れる前に直前でその動きを止める
刺すような冷たく強大な魔力が、怒りと共にロロの全身を駆け抜けたからだ
マレウス『ロロ・フランム..っ!!』
救いの鐘を鳴らすため、鐘楼の最上階へと辿り着いたマレウス、アズール、イデアたちは目の前の光景に絶句した。ここに来ているはずがないが、傷だらけでロロの足元で倒れていることに焦りと困惑が募る
アズール『さん!?何故ここに..』
イデア『今はそれどころじゃないでしょ。服は汚れて所々破れてる..ってことは、ロロ氏と戦りあったってことじゃん』
アズール『さん!僕らの声が聞こえますか!?』
『ぅぅ..ゃ..ごめ、ごめんなさい..っ』
アズール『声が届いていない。それほどまでに追い詰められているということですか』
マレウス『フランム。お前は、僕を謀っただけでなく..僕の大事な人の子までも手にかけたのか!絶対に許さん..』
膨れ上がる魔力が重い覇気を纏い全員の身に降り注ぐ。だがロロは恐れることなくニヤリと笑みを浮かべて杖を構える
ロロ『来たまえ。お前達を供物に、美しい紅蓮の花を咲かせてやろう』