第4章 *グロリアスマスカレード*
輝石の国・花の街
ユウ『そのまま真っ直ぐ行った道は花でいっぱいです!反対側の道から避難してください!!魔法で反撃しようとしないで、ゆっくり避難を!魔法を使えない方は狙われないので安心して移動してください!できれば魔力のある方に付き添って!』
燃える街の中、ユウの声が響き渡る。最初こそ混乱と悲鳴に満ちていた街も、ユウの必死な誘導で少しずつ落ち着きを取り戻し、花の被害がまだない道へと避難していた
その間、トレインとグリムは花を避けながら毟り取り、少しでも増殖を抑えようとしていた
グリム『くっそ〜!抜いても抜いてもキリがねぇんだゾ!』
トレイン『グリム、ここはもういい。向こうの民家にまだ人がいるのが見えた。彼らの救出に向かう!』
グリム『仕方ねぇんだゾ』
ユウ『グリム頑張って!街の人達の英雄になるんでしょ』
ユウの声援もあり、グリムはトレインと共に民家へと走り出した。その背中を見届け、ユウは救いの鐘のある鐘楼を見上げる
ユウ『みんな..早く鐘を鳴らして。、ちゃんと安全なところにいるかな。あれから電話繋がらないし、何かあったんじゃ..』
未だに鳴り響かない鐘の音に焦りが募り、向かった友人たちと愛する兎への不安に最悪の事態が頭をよぎる
ユウ『っ、ダメだ!変に考えるな。みんなはきっとやってくれる。も安全な所にいると信じよう』
ノーブルベルカレッジ・鐘楼最上階
ロロ『さあ、答えを聞かせろ』
『...』
突きつけられた選択肢に戸惑いが隠せない。だが、どちらを選んでもこの事態は解決しないということは、朦朧とする意識の中でもはっきりと分かっていた
耳の痛みに耐えながらは震える手を伸ばすと、耳を握るロロの手を弱々しく掴む
ロロ『!?』
『私は、どっちも、選ばない..っ!!』
見上げる深紅の瞳が一瞬強く輝く。その瞬間、ロロの鼓動が強く高鳴った。美しく透き通るような瞳、自分の手を弱々しく掴む小さく手。触れられた所から熱が生まれ、生徒会室にいたときと同じ炎が再び胸の中で大きく燃え上がる
ロロ『っ!!また私を誑かすつもりか、この魔女め!!』
『ゔぐっ..!!』