第4章 *グロリアスマスカレード*
輝石の国・ノーブルベルカレッジ
ロロが部屋を訪れる数分前。眠るの耳に着信の音が何度も鳴り響く。ふわふわした意識が次第に現実へ戻り、眠たげな目をこすりながら枕元のスマホへと手を伸ばす
『んむぅ..電、話。もしもし?』
ユウ『あっ、やっと出た!、今すぐそこから逃げて!』
『ユウ?どうしたの、そんなに慌てて』
ユウ『時間ないから大切なことだけ伝えるよ。
魔力を吸う赤い花がいきなり現れて僕らを襲ってきたんだ。それは街にどんどん広がってる。このままじゃ魔力を持つ人が、君が危ない。だからすぐにそこを離れて。
あと、一番大事なこと..その花を放った犯人は
ロロさんだ』
ノーブルベルカレッジ・鐘楼最上階
『ユウが教えてくれた。お花のことも、みんなが危ないことも、貴方がやったってことも』
ロロ『成程..ではなぜそれを知っているにも関わらず、私にノコノコ着いてきたのかね?』
『それは..貴方を、止めるため』
懐からマジカルペンを取り出すと、ロロへ向けながら立ち上がり、少しずつ後ずさりで距離を置いていく。怯えながらも決意を秘めた深紅の瞳が真っ直ぐに見つめる
ロロ『っく、ははははっ!!君一人に何ができるというんだ?今この場には君を守る者は一人もいないというのに。やつらは私の手で花の密集地帯へと落としてやった。今頃は花の餌食となって倒れているだろう』
『ううん、みんなは絶対に無事だもん。お花を止めるために、きっと何か方法を見つけてくれる』
ロロ『ふん、無駄な期待はしない方がいい。どうせ奴らも、君も、あの紅蓮の花に呑み込まれるのだからね!』
『っ!!』
突然目の前に視界いっぱいの炎の火球が襲いかかる。ギリギリで横へと転がったことで直撃は免れたが、背後の壁に当たった火球が壁を勢いよく破壊した
ロロ『ほう、避けたか。さすがは魔力の匂いに敏感な獣人なだけはある』
『!..なんで』
ロロ『何でも何も、分かるだろう?その耳を見れば』
『!!』
バッと自身の頭に手を当てると、帽子を被っていないことに気づいた。眠るときに外したまま、急な連れ出しに被るのを忘れていたのだ
ロロ『まさか獣人だったとはね。しかも兎の..んふふ、か弱い君にお似合いじゃないか』