第4章 *グロリアスマスカレード*
ノーブルベルカレッジ・鐘楼最上階
ロロ『やはり紅蓮の花もここまではまだ侵食していないようだ...くん、大丈夫かね?』
『はぁ..はぁ..つ、疲れた』
ロロ『急ぎ足で登ってきたが、よく着いてきてくれた。もう少し奥へ行こう、そこで体を休めるといい』
階段付近で荒く息を吐く背中に手を添えて立ち上がらせると、ゆっくり歩き鐘楼の奥へと誘導しそっと腰を下ろさせた
ロロ『ここで花の脅威が去るまで大人しくしていよう』
『..街が真っ赤になってる。火事みたい』
凭れた手すりの間から見える街が、紅蓮の花によって真っ赤な炎に包まれている恐ろしい光景に寒気が走る
『ねぇ、あのお花に魔力を吸われたら、どうなっちゃうの?』
ロロ『あの花に魔力を吸い尽くされれば、その者の魔力は永遠に失われる』
『!..魔法が使えなくなっちゃうの?』
ロロ『そうだ』
『それは..絶対に、や』
ロロ『何故かね』
『だって、魔法がなくなったらみんなで箒で空を飛んだり、マジフトしたり、ユウやみんなに新しく覚えた魔法を見せて喜んでもらえなくなっちゃう』
ロロ『下らない。そんなもの、何になると言うんだ』
冷え切った言葉に振り返ると、怒りと憎悪に満ちた表情が睨むように見下し、背筋が凍りつくような感覚がした
『ぅ..下らなくない。私にとっては大事なの。それに、お祭りのときも見たでしょ。私達の魔法で街の人達が喜んでくれたのを』
ロロ『だからそれが下らないというんだ。お前たちのような傲慢で身勝手な愚か者たちがいる限り、世界は救われない。魔法などなくなってしまえばいいのだ!』
『..やっぱり、あのお花は貴方がやったんだ。ユウたちがもう避難したなんて嘘、本当はあの街のどこかでお花を何とかしようと頑張ってる』
ロロ『その口振り、まるで最初から私がやったと気づいているようだ..どうやって知った』