第4章 *グロリアスマスカレード*
小馬鹿にしたような笑みに小さな怒りを覚えるも、目の前で自身の身長よりも、大きな杖を構えるロロから目を離すことなく体勢を整える
ロロ『どうした?構えてばかりでなく、攻撃してくるといい。私を止めたいのだろう?』
『...』
ロロ『ああ、私を傷つけるのが怖くて攻撃出来ないのか。所詮は口先だけの兎..安心したまえ、君程度の魔法士の魔法など、私には地を這うアリのようなものだ』
『(ムッ..!)だったらこれで!』
ロロ『何をする気か知らないが..っ!?』
ペンを床に振るい魔力を流し込む様子に、ロロは先手を取ろうと杖を振ろうとする。だが、その手が突然グンッと後ろに引かれ、振り向くと闇に覆われた手の影が手首を掴んでいた
ロロ『なんだ、これは?』
『これで何もできないでしょ』
ロロ『それだけで止められたつもりかね?腕を掴まれようと魔法を放つことはできる』
杖にはめられた宝石が輝き先ほどと同じ火球が放たれる。すぐに防御魔法で防ぐが、何発も撃ち込まれぶつかるたびに体に響く衝撃で少しずつ後ろへと押し込まれていく
『ぅぅ..っ!』
ロロ『守備に徹してばかりでは何も変わらない』
『ぅ..なら、風魔法で吹き飛ばす!』
一瞬の隙を見て防御魔法を解除すると、ペンを真正面に構え特大の風魔法を放つ。それはまるで竜巻のように渦を巻きながら火球を巻き込みロロへと向かっていく
『これなら押し返せ...っ、あ、れ?』
突然体の力が抜け、めまいのようなグラつきが起こり、フラリと体が傾いた。なんとか踏ん張ろうとするが、うまく立っていられずその場で座り込んでしまった
『なん、で..』
魔力が途絶えたせいか勢いをなくした風魔法はロロに届く前にふわっと消滅してしまった。押し返された火球もロロによって外へと弾き返される
ロロ『おや、これは説明されなかったのかね?紅蓮の花は魔力のある方に寄っていく。その中でも特に強い魔力が溢れる方へと寄っていきやすい習性でね。先程のような大きな風魔法など、恰好の獲物というわけだ』
『ぁ..お花..』
足元の赤に気づき下を見ると、いつの間にか勢いよく燃え上がる紅蓮の花に群がられていた。風魔法を吸ったせいか、花はあっという間に増殖しを囲んでいた