第4章 *グロリアスマスカレード*
ノーブルベルカレッジ・生徒会長室
炎が揺れる
備え付けの大きな暖炉、その中心で炎が燃えていた。照明は落とされ、炎の煌々とした明かりだけが部屋を、暖炉の前に佇むロロを淡く照らしていた
〔ロロ〕
ロロ『..馬鹿馬鹿しい、何もかもだ。魔法は祝福?贈り物?魔法で楽しむ..だと?』
どれもこれも虚言だ
愚か者共の唱えるでたらめだ!!
私の怒りに応えるように目の前の炎が強く燃え上がる。まるで私の気持ちと繋がっているように
ロロ『..いや、考えるのはよそう。この苦悩も、遂に終わる』
そう、終わるんだ。ようやく長年私を苦しめてきたこの呪いが終わる。私の手によって..
だというのに今の私には別の呪いが纏って苦しめる
あの女だ
あいつが来てから、最初に助けた時から、花のような香りを嗅いでから、私の胸に欲望の炎が燃え上がって、次第に大きく熱く私の身を焦がしていく
なんだこの炎は..何故こんなにも苦しい?
あの女を見ただけで、思い出すだけで、この胸の炎が私を酷く焦がしていく
欲が溢れてしまう
あの女に触れたい。抱きしめたあの華奢で柔らかい体にもう一度触れたい。戸惑った顔も笑った顔も泣きそうな顔も全て私のものにしてしまいたい
だがあいつはマレウス・ドラコニアたちと同じ、魔法を乱用して享楽に溺れる忌々しい魔法士だ。私が滅ぼさなければならない愚か者だ
分かっている
分かっている
分かっているのに、私の心はあいつを求めてしまう
ああ..これは幻覚だ
目の前の炎があいつの姿を形どり、揺らめきがあいつの舞を彷彿とさせて私を誘う。足が勝手に踏み出すと、奴は両腕を広げてこちらへ飛び込んできた
想いのままに炎を勢いよく抱きしめるが..やはり幻覚だ。炎の熱さも肌の温もりも感じられない
残るのは憎しみと欲望だけ
ああ、なんて忌々しい!!あいつは魔女だ!!周りの男達だけでなく私までも誑かし惑わせる魔女だ!そうだ、あの魔女が私に呪いをかけたんだ
神よ、何故あの女を作ったのだ。どうか、あいつを私に与えてくれ。もし出来ないなら、お前が私を拒むなら..
地獄の炎で燃やしてやる
フロローさんの歌をお借りした