第4章 *グロリアスマスカレード*
道化師『みなさん、どうぞお静かに!これはどうやら、悪戯な魔法士の卵からの素敵なプレゼントの様子..折角の一年に一度の祭り!気兼ねも気遣いも忘れて騒ぎましょう!』
道化師の言葉に花火は更に数多く、大きく打ち上げられていく。漂ってきた魔力からは、大好きな匂いがした
『グリム、みんな..知らないのもあるけど、みんながお祭りを盛り上げてる』
ロロ『この花火は彼らの魔法か』
『んふふ、私も少しだけ』
そう言ってペンを軽く振るうと、新たに小さく可愛らしい色の花火が上がり、人々からは更なる歓声が響いた
『〜♪』
ロロ『誰も彼も魔法に浮かれて..見ていられないな』
『鐘の人?』
ロロ『君..ええと、くんだったね。君も含め周りのナイトレイブンカレッジの人々は、優れた魔力を持つものが多い。ならばその力は慎重に使うべきだ。少なくとも、あのようにみだりに街の人々の心を騒ぎ立てるためのものではないと思うがね』
『...でも』
ロロ『ん?』
『確かにそうかもだけど、その人の魔法はその人だけのもの。悪いことに使っちゃだめだけど、ああやって他の人が喜ぶような魔法は、使っていいと思う。ほら、みんな楽しそう』
ロロ『..魔法は厄介なものだと思わないかね』
『厄介..』
ロロ『毎日分別もつかない魔法士に囲まれ..それに君は男子校であるナイトレイブンカレッジの唯一の女子生徒だと聞いているよ。周りの男たちに酷い目に遭わされていたり、魔法で迷惑をかけられていないか?』
『ううん、みんな優しいよ。大事にされてるし、魔法いっぱいの生活は楽しいよ』
ロロ『楽しい?』
ユウ『あ、いた!〜!!』
『ユウ』
人混みをかき分け自身を探しに来てくれたユウに手を振ると、安心したような表情で駆けてくる
ユウ『探したよ。周りのベンチ探してもいなかったから、何かあったんじゃないかって』
『ごめん。足擦れちゃって鐘の人に助けてもらってた』
ユウ『そっか、靴ずれしちゃったのか。ロロさん、ありがとうございました』
深く頭を下げると、気にしなくていいと返されユウは安心と少しの不安を残してホっと息を吐いた