第4章 *グロリアスマスカレード*
デュース『あれは綱渡りだな。こんな街のど真ん中でやってるなんて!』
アズール『こういったショーがあるとは聞いたことはありますが、実際に綱渡りを見たのは初めてです』
地上どころか空中を歩く、しかも魔法も使わずに綱渡りをする人間の行いに少し引き気味に見上げながら、いつ落ちてもおかしくない状況にハラハラしていた
ユウ『でもこういうのってワクワクしません?』
アズール『ワクワク!?ユウさん、貴方やはり見かけによらず結構大胆なところがありますよね』
『落ちそう..わわっ..あぅぅ..』
アズール『ほら、普通はこういう反応をするでしょう』
ユウ『確かにハラハラもしますけど、同時にワクワクしちゃうんですよ。だからああいうショーが生まれるんです』
アズール『人間というのは本当に意味がわからない』
『アズさんはこういうの、や?』
アズール『いえ、嫌というわけではなく単純に理解しがたいんですよ。空を歩こうという考えがね』
『んふふ、アズさんお空苦手だもんね』
アズール『それどういう意味ですか?』
ジロリと横目で睨むが、怯える様子もなくクスクス笑われ続け、アズールはふと脳裏にニヤニヤと牙を見せて笑う双子のウツボの姿が過ぎった
デュース『あのアーシェングロット先輩をからかうなんて..お前ってかなり度胸あるよな』
『だってからかうと、アズさん可愛いんだもん』
アズール『こら。まったく、貴女という人は..』
はあ、とため息をつきながら帽子の上から軽くコツンと小突くと、悪びれもない様子で"ごめんね"と謝られ、それにもう一度ため息をつくと、スルッと優しく頬をなでた
アズール『先輩をからかうんじゃありません。反撃されても知りませんよ?』
『アズさんは優しいからそんなことしないでしょ?』
アズール『いくら優しい僕でも慈悲の心には限度があります。いつか、とても怖いことをしてしまいますよ』
『んふふ、気をつけるね』
ユウ『なんだあのイチャイチャ空間は』
デュース『完全に二人の世界に入ってるな。って、いつの間にか手を離してしまった。アーシェングロット先輩に奪われた..』
ユウ『僕もさっきデュースに取られたし。あーあ、やっちゃったなぁ』