第4章 *グロリアスマスカレード*
ラギーの気の利いた発言で、トレインの小一時間は続くであろう説明を終わらせることに成功すると、メインのショーが始まるまでの間、各自で出店を回ることとなった
『わっ、犬さんが人を散歩?』
イデア『テーマが"あべこべ"なんだって。着ぐるみだから中身はどっちも人間だよ』
『船がお魚さんに追いかけられてる』
イデア『グリム氏とユウ氏も立場を交代してショーに出られるのでは?ひひっ』
ユウ『リードつけて引きずり回してやりましょうか?』
イデア『なんで拙者を見るんですか!?』
グリム『えー。オレ様いくらショーでもユウに引っ張られて散歩されるなんて嫌なんだゾ』
『逆じゃない?』
ユウ『はぁ..』
『ツノ太郎、足長い人いる』
マレウス『あれは竹馬だな。衣装の下には普通の人間が入っているのだろう』
グリム『じゃあオレ様もあれを使えばツノ太郎よりも背がデッカくなるのか?』
デュース『どうしてドラコニア先輩に挑もうとするんだ..』
マレウス『ほう。競ってみるか?僕が本気を出せば..あの竹馬を使ったとしても、お前程度では勝てぬと思うがな』
竹馬に乗ったパフォーマーを見上げながら、マレウスは意味深な笑みを浮かべる
背伸びでもするのかと問うも、その笑みが崩れないまま"さて、どうだろうな"とはぐらかすだけだった
『色んなとこでザワザワしてる』
デュース『全部見られそうにないよな。他に気なるものがあったら僕に教えてくれ』
『ん。デュース..手』
デュース『!い、いいのか?』
『今誰とも繋いでないから、寂しいの。それに手くらい、いつでも繋いでいいよ?』
デュース『そうか、ありがとな』
差し出された手を優しく握ると、嬉しそうに笑う姿に胸が甘く締め付けられる。頬に灯る熱もそのままに、デュースは引かれるままに歩きだした
『太鼓とバイオリンだ』
デュース『ラッパも鳴ってるな。広場についてから楽しそうな音楽が流れてるなと思ってたんだ。このテントで演奏してたんだな。かなり大きな音だが、耳は大丈夫か?』
『ちょっと大きい。でも大丈夫。帽子で少しは抑えられてるから』
グリム『って向こうのやつは何してんだ!?スゲー高いところに張った紐の上を歩いてるんだゾ!』