第4章 *グロリアスマスカレード*
マレウス『正解だ、セベク。その通り、ここはかつて花の街の一部の人々が住む隠れ家だったらしい。どのような人々が暮らしていたのかまでは、僕も知らないが』
『..周りから嫌われてた人達かも』
ユウ『?』
『なんでもない』
少し悲しげな瞳を揺らしながら首を振る。その傍らでは昔この水路に奥さんと来たことについて揶揄われたトレインの叱責が水路に響いていた
トレイン『さて、そろそろ地上に上がろうか。年寄りの昔話につきあわせてすまなかったな』
マレウス『まさか。目新しい話ばかりだったぞ』
リドル『ん?やけに静かだと思ったら..グリムがいないんじゃないかい?』
ジャミル『そういえばいないな。どこに行ったんだ?問題を起こしていなきゃいいが』
『グリム..どこ?あ..』
いつの間にかいなくなったグリムを探して辺りを見渡すと、橋の上で何かを1点に見つめる横顔を見つけた。急いで向かうと、床屋の前に置かれていた赤と白のサインポールに目を奪われていた
床屋というところで話題が各々の散髪事情になり、セベクはマレウスの護衛としての身だしなみを整えるために頻繁に行き、ジャミルは月に1回、リドルは入学してから自分で切っていたが、ケイトに止められたということで麓の理髪店に通うようになり、マレウスは城に専属の理容師を呼んでいるとのことだった
ユウ『はどうしてるの?ママさんにしてもらってる?』
『ん。ママが月に2回くらい。でも、先っぽ整えるくらいだよ』
マレウス『ほう。お前のこの輝く美しい髪は、母君による手入れの賜物か。素晴らしいな』
サラリと一房掬うと愛おしそうに目を細める。熱が秘められた視線に頬が熱くなり思わず逸してしまう
そうしていると、昔流行ったとされる髪に見立てた木くずの被り物が似合うとからかわれ、グリムが暴れだしていた。そんなグリムを抑えながらため息をつくと、そろそろ別行動しようと提案した
ユウ『じゃあ僕ら行きますね』
マレウス『共に過ごせて楽しかったぞ。ユウととグリムもまた後で会おう』
ユウ『うん』
『みんな、またね』
小さく手を振りながら去っていくをマレウスたちは名残惜しそうに見送っていった