第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
カリム『ほら、みんなもこう言ってるぜ。よろしくな、ジャミル!』
ジャミル『冗談じゃない!今日一日、どれだけ大変だったと思ってる!』
抗議の声をあげると、同時にラストスパートを飾る花火が上がり始める
カリム『あ!いよいよ大会のクライマックスだ!でかい花火が沢山上がるぞ!』
『ジャミさん、こっちで一緒に見よ?』
ジャミル『はぁ..分かったよ』
一番端に座っていたが空いている自分の隣をポンポン叩き、隣に来るように促すと、ジャミルは先程の話題を引きずりながらも息をはいて隣に腰を下ろした
既に全員の意識は夜空へと向けられていたため、来年の話は後でいいかと、ふと隣のへと目を向けた
ドンドン!!と打ち上がる花火を見つめるその横顔は、花火の光に照らされていつも以上に美しく、深紅の瞳は何色もの花火を映していた
『キレイ..』
ジャミル『お前の方が綺麗だ..』
花火の音に紛れて小さく呟いたはずの声は、の聴力にしっかり捉えられ、は静かに振り向いた
『ありがと..』
ジャミル『..今日は楽しかったか?嫌な思いをしたり怖かったりしなかったか?』
『ううん、楽しかった。こんな綺麗な衣装を来て、知らない街をみんなで回って、美味しいもの食べて、ナジュマちゃんとも出会えて、泥棒さんのことはあったけど怖くなかった。全部全部、楽しかった』
ジャミル『そうか、安心した。今日一日ずっと不安だった。お前に嫌な思いをさせていないだろうか、本当は無理をしているんじゃないかって』
『心配してくれてありがと。でも大丈夫だよ。それより、ジャミさんはどうだった?楽しかった?』
ジャミル『正直、疲れた。本当はもうこんなことゴメンだ』
『また私がここに来たいって言ったら、案内してくれない、よね..』
ジャミル『..前にも言ったが、お前だけならいい。その時は俺と二人きりで出掛けると約束してくれ』
『分かった、約束する』
大きく頷くと、少しばかり機嫌の戻ったジャミルは、肩を抱き寄せてその頭に頬を寄せた
『あ、そうだ..ジャミさんにしたいことがあるの』
ジャミル『ん?なんだ?』