第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
マレウス『手を伸ばせば、花火に届きそうなほどの迫力だな』
ジャミル『ただ上を見ているだけでは、勿体ないですよ』
トレイ『ん?どういうことだ?』
カリム『花火の下で楽しく踊るのが、ヤーサミーナ河 花火大会なんだ!』
ジャミル『姫と青年の結婚を祝福して、人々が踊ったのが始まりなんです。折角の機会ですし、みなさんも踊って二人を祝福してみては?』
マレウス『この国の伝統文化というなら、僕も参加させてもらおう』
グリム『ユウたちも一緒に踊るんだゾ!』
ユウ『分かったよ。さ、もおいで』
『ん!』
差し出すユウの手をとって立ち上がり、既に下の広場で踊り出している人々の踊りを見よう見まねで頭にいれていく
ジャミル『俺も、仕掛け花火の合図に備えないと..さあ、みなさん、準備はいいですね?』
ヒュルルルルー...ドドーン!!
まるでその音を合図にするかのように、その場の全員で伝承の二人を祝福する躍りが始まった
ユウ『思った以上に疲れたぁ..』
『休憩..』
カリム『オレはまだまだいけるぜ!』
ユウ『地元民の体力ぱねぇ..』
激しい躍りに途中で力尽きた二人は、観覧席の隅っこで休息をとることにした
その間にもドンドンと何発もの花火が辺りを照らす。見たことないほどの大きさと美しさに思わず見とれてしまう
『...キレイ』
ユウ『生の花火は初めて?』
『ううん。でも、いつも遠いの。多分近いと、人がいっぱいいるから』
ユウ『そっか。今日のこの事は、ママさんたち心配しないかな』
『大丈夫。"昔はいらないほど心配しちゃってた"って言ってた。今も心配だけど、し過ぎるのは私のためにならないって..』
ユウ『今日はしっかり耳隠してたし、変に目立たなかったから、安心して観光を楽しめたね』
『ん。楽しかった..また来たい。あ、ジャミさんが向こうにいる』
ユウ『ということはそろそろ例の仕掛け花火が打ち上がる時間だ』
『頑張れ、ジャミさん』
見ている自分たちもドキドキしながら、ジャミルの合図の様子を見守った
すると、ジャミルの手が合図を出すように振り下ろされる。すると、100発の仕掛け花火の最初の花火が上がり始めた