第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
?『何かお礼をしたいと考えてな。君にお願いしたいことがあるんじゃ。大会の目玉である、仕掛け花火打ち上げの合図を、君に任せたいんじゃ』
ジャミル『えっ、仕掛け花火?まさかそれって、ヤーサミーナ河 花火大会で最も重要とされる..』
?『そう。ラストの大玉100連発のことじゃ!打ち上げ花火が近代化された今でも、アリアーブ・ナーリヤで魅せる、美しい花火の価値は変わらん。仕掛け花火を打ち上げることは、ヤーサミーナ河 花火大会で最大の名誉と言われている。
このUSBを取り返してくれた君に、是非やってほしいんじゃ。ジャミルくん』
カリム『おー!すっげー!やったな、ジャミル!』
自分のことのように喜ぶカリムは軽くその背中を叩くが、ジャミルは戸惑いを隠せずに"待ってください"と前に出た
ジャミル『そんな大役を引き受けるわけにはいきません!そういうことは、従者である俺じゃなくて、主催者であり、アジーム家次期当主のカリムが相応しい。カリムを差し置いて、俺がやるわけにはいきません』
カリム『あっはは!何言ってんだよ。めちゃくちゃ大事なことだからこそ、今日一番頑張ったジャミルにぴったりなんじゃないか!』
トレイ『そうだな。カリムや花火師のおじさんだけでなく..お兄ちゃんが活躍したら、ナジュマちゃんも喜んでくれるんじゃないか?』
ケイト『うん。今日一日オレたちを完璧にアテンドしてくれたジャミルくんだもん。きっと格好良くキマるよ。あ、ちゃと記念の写真も撮ってあげるから、任せて』
マレウス『こういう時は素直に受け入れることも大事だぞ、バイパー』
ジャミル『しかし..』
チラリとユウたちの方を横目で見ると、ユウは呆れた様子でため息をはく
ユウ『はぁ..まだ手柄のこと考えてますね。いいって言ってるじゃないですか。ツノ太郎の言うとおり、こういう時ぐらい素直に受け取ってください、貴重なんですから。それに、こんな名誉あることしたってなったら、先輩本人だけじゃなくて、その主であるカリム先輩の評価も上がります。それって、外面的には良いことなんじゃないですか』
『ジャミさん』
ジャミル『..』
『私に、カッコ悪いところ見せるの?』
ジャミル『え..』