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『IDOLISH7』世界で一番好きな人

第5章 第四章君が好きだから




音楽を奪われ、夢を奪われたと思った。

でも違った。
音楽は常に私の傍に合ったのだから。

「万理さん…いいえ、万さん。優しい歌をありがとうございます。今でも感謝しております」

「まさか…あの時のラベンダーの封筒は」

一度だけ、私は手紙を送った。
届かないと思っていたけど、まさか届いていたとは思わなかった。

「汚い字だったでしょう?腕が麻痺していたので…」

「俺、あの手紙がすごく嬉しかったんだ。一緒に添えられていたラベンダーのしおりも大事にしているよ」

「ありがとうございます」

まさかまだ持ってくれているなんて思わなかった。


大勢のファンの一人に過ぎない私が贈ったものを持っていてくれたなんて。

「俺の事知っていたんだね…」

「私だけではありません。響と律も知っていました。凛人に貴方達の事を話したのは私だったで」

「え?凛人?」

「はい、岡崎凛人は私の幼馴染です」

「は?」


思わずカップをひっくりかえしてしまった万理さんはそれ程に驚いていたのかもしれない。

「熱っ!!」

「万理さん!」


まだ冷めていないコーヒーが膝にかかり、大惨事となってしまい、しばらく万理さんは大慌てをしていた。


「ごめん」

「いえ、私こそすいません」

コーヒを零した後は後始末で騒いで大変だったけど人が少なかったのでそこまで目立たなかったが、万理さんは酷く落ち込んでいた。


もしかしたらドン引きされたかな?

十年も思いを寄せていたなんて重すぎると思った。


以前から私の愛情は主重すぎると言われていたから。


「ごめんなさい万理さん…鉛のように重かったですか?」

「え…何言ってるの?」

「十年も前の話を今さら言われてもと思うでしょうし、正直重荷だと感じるのでしたら言ってください」


私を好きだと言ってくれて嬉しかった。
同情で恋人同士になる人ではないと思っているけど、それでも、重荷になるぐらいならば手を離して欲しい。


「万理さんが私を好きだと言ってくださって嬉しかったです。私を好きだと言ってくれたのは友人以外で万理さんが初めてでした…」

曲をか書かなくなり、歌えなくなった私を多くの人が失望した。


だから驚いたし、嬉しかった。


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