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『IDOLISH7』世界で一番好きな人

第5章 第四章君が好きだから





物心つく前から私はピアノに触れていて、自分で作曲するようになった。

私がピアノを弾くと母は喜び。
周りの人も喜んでくれたから、次第に作曲する事が好きになった。


「音楽は生きた情熱。愛の結晶だと母が良く言ってました」

「素敵なお母さんだね」

「はい、愛に生きる人で…少しぶっ飛んでいたそうです」

男性的な性格をしているとよく聞かされた。

「ただ、父親が外国人で、上流階級の方だった事から母との結婚は正式に認められなかったんです」

母は日本人だと言う理由で結婚が認められずにいたと聞いている。


でも、父を深く愛していたと。
例え離れ離れになっていても誰よりも愛していると何時も言っていた。


「あの曲、すごく素敵だった。きっと、奏音さんのお母さんはお父さんの事が大好きだったんですね」

「はい、母が父にプロポーズした曲だと言ってました」

「え?お母さんの方からプロポーズしたの!」

「はい、正式に認められないから二人だけで教会で結婚式をしたようで…」

よく考えればすごい積極的だと思う。
普通は逆かもしれないのに、女性側から愛を語るんだから。

「私は母のように恋に積極的ではなかった…けれど、音楽だけは違いました」

私にとって音楽は恋人だったのかもしれない。

何があっても大切にしたい物で、音楽が私に大切な出会いをくれたの。


「でも、音楽活動をする最中…歌えなくなってしまったんです。その後は何もかも投げやりになっていました」

そう、すべてを奪われたあの日。
私の唯一のものまで無情に奪われてしまった私は希望を見出せなくなり絶望した。


「病気で手術をしなくてはならず、手術しても助かる可能性は少ないと言われた時。もういいと思ったんです」

「もういいって…」

「この世に未練はなくなりました」

私の言葉に万理さんは瞳を揺らした。
優しい人だから私の言葉を受け入れざるを得なかったのかもしれない。

けれど、あの時の私は道が閉ざされた。


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