第2章 第一章君が好き
環君が何時もよりも素直に謝り事情を話してくれた。
聞けばダンスをもっとかっこよく見せて陸君の負担を減らせるように考えていたようだ。
「環ぃぃ!俺が悪かった!」
「お前でも他人を気遣えたんだな!」
「おっさん!さりげなく酷いぞ!」
「ごめん環!」
その後みんなしてごめんなさいをしあう事になったが一人だけ落ち込んでいる子がいた。
「僕、最低です」
「壮五君」
人一倍責任感が強い壮五君は自分を責めだす。
「全然わかってなくて」
「おい、そこで落ち込んでるマゾ。何当然な事言ってんだ?他人の気持ちを理解するだぁ?何様だ」
「ちょっ…律さん言い過ぎじゃ」
いきなり壮五君に食って掛かる律さんを美月君が止めるも。
「黙ってきいてりゃめんどくさいなお前。他人の心なんて全部理解するなんて傲慢なんだよ。解ろうと努力してそれで喧嘩になれば殴り合いでもすればいんだよ」
「いや、律さん…それはまずいんじゃ」
「お前弱そうだからな。名前負けだな」
「止めてくれる?悲しいだけど」
大和君がフォローするも撃沈される。
「お前は少し考えすぎなんだよ。まるであの苦労の塊でできた馬鹿也と同じだ…いっ!」
「誰が馬鹿だって?」
背後から手が伸びて律さんの頭を握りつぶされる。
「俺の苦労を少しは解れ。お前は昔から問題起こして喧嘩吹っ掛けてフォローした俺の親切心を何だと思ってやがる」
「頼んでねぇ!」
「ああ、お前がもう少し学習しねぇから水洗トイレにお前を突っ込む羽目になってんだよ」
「「「昔の不良だ!」」」
水洗トイレに突っ込むって、何時の時代の苛めなのかな?
「しかもお前、俺の楽しみにしていたうさたんケーキを食べたな」
「ああ」
「俺の楽しみを奪いやがってぶっ殺すぞ!」
「「「ええええ!」」」
うさたんケーキって、三月君の実家の新作ケーキで可愛い事で有名なあのケーキ?
「俺はな仕事帰りにあの愛らしいケーキを食べるのを楽しみしていたんだよ!」
「三日前に買って賞味期限切れてただろ」
「俺は三日間愛でるんだよ!」
いや、腐るから。
「律さん、お腹壊すぞ」
「ハッ、俺は豆腐が10日過ぎても食べる」
「威張らないでくださいよ!」
うんうん、三月君と一織君の言いたいことは解るよ。
それよりギャップが半端ないな。