第2章 第一章君が好き
アイナナ寮にてお茶の用意をする。
「おい俺はミルクティーだ。何時もの」
「相変わらず甘党だ」
「りーちゃん俺もミルクたっぷりが好きだぞ」
「だろ!コーヒーよりも俺はミルク大目が好きだ。そんで王様プリンを一緒に頂く」
「おう!」
うん、気持ちが解ると言うより同列な所があるな。
「はいミルクたっぷり」
「サンキュー!」
「やっぱこれだよな!」
この光景を他のメンバーが見たらなんて言うだろうか。
むしろファンの子達が見たら絶句するかもしれない。
「環、お前また何かしたのか?」
「俺悪くねぇ。ダンスでアドリブしたらミスってそーちゃん怒らせたんだ」
「なんでだ?」
「勝手な事をするなって…何で怒るんだよ。俺のダンスかっこいいって言った癖に」
成程。
アドリブを勝手に入れた所為で合わせられなくなったのか。
「ハッ?馬鹿だろ?合わせられないからって八つ当たりかよ」
「環のダンスは他の子達よりもアグレッシブだから合わせられないからね」
「なんで?」
「ようするにダンスが上級者の踊りに初心者がついて行くのは難しいって事かも」
「そんなの解りきっていた事だ。環はダンスをかっこよくしたくて頑張ったんだろ…偉いぞ」
「俺偉いか!」
「ああ…決められたステップを踊っているだけじゃダンサーとしては成り立たない…だがアンサンブルは一人じゃなくてチームで合わせないとダメだ」
「合わせる…」
真剣な表情で言う律に環はキョトンとする。
ユニットを組むうえで難しいのはチームでの活動だった。
「一人のダンスよりも二人や三人の方がインパクトがある分合わせるのは難しい。だがお前はダンサーとしてはユニットの中では一番だ」
「俺が?」
「ああ、だからこそお前がペースメーカーになって引っ張ってやれ。Mezzoのダンスをより完成させられるのはお前だ。壮五は個性がない」
「でもそーちゃん上手いぞ」
相棒を悪く言われたのかと思いムッとする。
「ダンサーとしての資質はまだ足りない。歌はいいだろうがな…だからお前が助けてやれ」
「俺が?」
「できるな?」
決して否定することなく環のモチベーションをどう上げるか解っている。
流石だわ。
「俺できるぞ!」
「環はやればできる子だ」
環に笑顔が戻り私も安堵した。