第3章 Partner
「よォ、昼飯食おうぜ…ってなんか元気ないな?どした?」
「三ツ谷くん〜今日なんかずっと視線感じちゃってもうだめ…。」
「ああ、相方探しな。」
分かるぜ、と言って三ツ谷くんはサンドイッチにかぶりついた。
「連休明けくらいには大体皆が決めるみたいだから、その頃には落ち着くだろ。」
「あと2週間もあるよ…正気を保てる気がしない…。」
「さんの正気すぐダメになるじゃん。」
もうちっと気合い入れろよ、と運動部みたいなことを言って今度は焼きそばパンの包装を開けている。どうでもいいけど三ツ谷くん今日はお弁当じゃないんだ。
「なんなんだろうね、このお笑い芸人みたいな制度。」
「ツッコミとボケの相方探し?みんなセンスのある相手と組みたいわけだもんな。」
「合理的だとは思うけどさあ、ずーっと面接!みたいな空気が耐えられない…」
大きく溜め息をついた。
1度組むとなかなか解消するのも難しいと聞く。さらにその2人で卒業後にブランドを立ち上げたという先輩の話を聞いたりすると、逆にたった2週間で見つけろという方が無謀なのではないかとも思う。
ここから一生の付き合いになるかもしれないわけだ。結婚相手よりも長い付き合いになる可能性だってある。
「ちなみにさんは相手見つけた?」
「!」
「それどういうリアクション?」
「いや、そうだったなあと思って。私も探さないといけないんでした。他人事じゃなかったわ。」
急に冷静になってしまった。値踏みの視線が嫌だとか言っている場合ではなく、私も値踏まなければならないのだった。