第3章 Partner
「そんな三ツ谷くんは?もう決めた?」
「実は何人かから話はもらってる。」
「え、すごい!!じゃあその中から決めるの?」
「いや、別で組みたいヤツいてさ。」
もうちょっと様子見、と続けると三ツ谷くんは最後の焼きそばパンを口に放り込んだ。
考えれば考えるほど深みに嵌ってくような気がする。
センスがあって、作りたいものの方向性が近くて、そしてそもそもの前提として気が合う人。
そんな都合のいい人いるわけがない!
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しかし意外にも、この件はすぐに進展することとなる。
「ー!もしよかったら私と組んで貰えないかな。」
休憩時間に声を掛けられる。茜だ。
三ツ谷くん以外となかなか話せずにいた私を女子グループに引き込んでくれたのが何を隠そう彼女である。その節は大変お世話になりました。
「これ、私が描いたデザイン画だから参考に見てもらえればと思って。」
1冊のノートを渡される。
私が何か言うより早く、よろしくね!と言って彼女は去っていった。
この強引さに救われたのだが、今回ばかりは少し戸惑ってしまう。
渡されたノートをパラパラと捲ってみたが、正直あまり惹かれなかった。
いや、彼女の名誉のために言っておくがデザインは文句無しにいい。センスもあると思う。ただ私の好みに合わなかったというだけだ。
好きじゃないデザインを縫うのも苦痛だしなあ、と私は再び頭を抱えるのだった。