第2章 Reunited
「ではまた明日、お疲れ様でした。」
終業のチャイムほぼぴったりに本日最後のガイダンスは終了した。
「座って話聞いてるだけって思ったよりしんどいな。」
「いやほんとそれ。まだあと4日もこれあるの!?正気を保てない!」
「頼むから正気は保ってくれ。ほれ、帰るぞ!」
「アハハ三ツ谷くんお兄ちゃんじゃん、いやむしろお母さん?」
べシッと頭を叩かれる。
早く来いよーと言いながら私の分の鞄も持って教室を出て行った彼を追って、私も廊下へ飛び出した。
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「今日は特急で帰んないんだな。」
駅構内。
山手線のホームに上がろうとした私に三ツ谷くんはそう声をかけた。
「あれ、言わなかったっけ?私一人暮らし始めたんだ。実家から通うと片道2時間かかるし。毎日往復4時間はキツすぎるでしょ。」
そりゃ無理だ、と彼は笑う。
「で、内回り?外回り?」
「それはよく分かんないけど渋谷に行く方。」
「んじゃそっちじゃなくてこっちだ。」
「え、山手線は山手線じゃないんだ…。」
「それでよく朝遅刻しなかったな!?」
「新宿に行きそうな人が多い電車に乗りました!」
「なんだそれ…」
呆れたように笑いながら三ツ谷くんは渋谷方面行のホームを指差すとそちらに向かって歩き出す。
「ごめん、わざわざホームまで送ってくれなくて大丈夫だよ。もう間違えないし。」
「オレん家も渋谷なの。わざわざじゃねえから勘違いすんな。」
ホームへの階段を上り始めた三ツ谷くんの背中を慌てて追いかけた。