第2章 Reunited
何も無くともなんとなく浮き足立つ春。私は新宿にいた。
そう、第一希望の専門学校に合格を果たしたのだ。
満員電車で押しつぶされようが、テキストのせいで背中のリュックが殺人級に重くなろうが、新しい学び舎へ向かう私の足取りは軽い。
入口の前で深呼吸をする。今日からここへ通うのだ。よし!と心の中で気合を入れて1歩踏み出した。
オリエンテーション、ガイダンス、学科説明、エトセトラエトセトラ。
最初の1週間はそんなもんだよ、と聞いてはいたものの情報量の多さに目眩がしてくる。
「友達作るのは最初の1週間が勝負だからね!休講情報とかテストのヤマはりとか絶対友達は多い方が学校生活有利だから!」
これは我が姉の弁である。彼女は昔から要領が良かったのだが、その片鱗を垣間見た気がした。
でも無理だよお姉ちゃん…入学式の段階である程度グループはできていたし(なんで?同じ高校出身?)
ガイダンスの間の短い休憩なんてトイレ行ってたら終わるもの…。そもそも友達ってどうやって作るんだっけ?
「隣いいですか?」
「あ、はいどうぞ。」
記念すべき学生生活初日、最後のガイダンス。
ぐったりと机に伸びていた私は声を掛けられて慌てて居住まいを正した。
「「あ」」
顔を上げた先には、見覚えのある男の子。