第6章 Slowly but surely
ぺーやん、と呼ばれた店員さんは不思議そうな顔で私と三ツ谷くん、ドラケンくんの顔を交互に見る。
若干決まりが悪そうなドラケンくんはそんな彼の背中を叩いて、早く席に案内しろ、と急かしていた。
乾杯、と3人でグラスを合わす。
シュワシュワと泡を立てる金色の液体をぐっと飲み干した。
「そういえば自己紹介まだだったな。オレは龍宮寺堅、ドラケンって呼んでくれ。」
「私は。あだ名とかは特にないから…でもでも好きに呼んで。」
「ならちゃん、だな。三ツ谷と同じ学校なんだって?」
「うん、三ツ谷くんすごいんだよ、多分クラスで成績トップだもん。」
「それ言うなら次席はさんでしょ。」
意外にも、と言ったら失礼だがドラケンくんはフランクで話しやすい人だ。
オラついた話し方もしないし店員さんに高圧的な態度をとることも無い。
「刺し盛りお待たせーあとこれオレからのサービスな」
「だし巻き玉子じゃん、いいのか?」
「オレが作ったやつだから歪だけどよ…今練習中なんだワ」
美味しそう、と手を伸ばす。
確かに見た目はちょっと悪いが味は絶品だ。
卵焼きどころか一人暮らしではほとんど料理らしい料理をしていないことを思い出す。