第3章 Partner
もし断りにくくて優しさでそう言ってくれてるなら気にせずはっきり断ってくれな、そう目を見て言われて慌てて首を振る。
「違うの。こんなこと言っちゃ他の人に申し訳ないけど、今まで見たどのデザイン画よりも私の手で作ってみたいと思ったよ。でも相方ってなると、このデザインに私の技術力が追い付いてないと思う。コンペの結果はそのまま成績になるじゃない?私のせいで三ツ谷くんの成績下げたくない。」
一気に捲し立てた。
知っているのだ。三ツ谷くんが奨学生であること。奨学生は一定以上の成績を維持しないと奨学金を取り消されること。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、言いたいことは分かった、と再び三ツ谷くんは口を開く。
「さんはさ、気付いてないのかもしれないけど同期の技専の中でトップクラスに技術あるよ。作業は丁寧だし、なのに早いし。授業でも早く終わって時間持て余してる時あるでしょ。」
「あとな、オレ、パターンひくのってすごい個性出ると思ってるんだけど。さんのってほぼ1発目のトワル組みでオレ好みのライン出してくるんだよね。あれはビビったワ。」
「この人にオレのデザインを形にして欲しい!って思っちゃったんだよな。それに、バカ話できるくらいには気ぃ合うつもりだし。」
足りない技術はこれから身につければいいだろ、そのための学校じゃん、とニッと笑いかけられる。