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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第5章 口溶けに恋して◉山田END



「私は大丈夫・・!
 味見したから味わかってるし!」

「いーからホラ、くち開けて」

そう言った山田くんがそれを更に近づけて
反射的に開けてしまった口の中に、昨晩何度も味見をしたそれが彼の指によってそっと入れられた




「・・そうやっていつも隙だらけ、」

「ん、っ!!」

にやにやと笑った山田くんの人差し指は依然として私の口の中に留まって
徐々に溶けていく苦いそれをわざとらしく絡めて舌の上を滑った


「や、だ・・!ちょ、っと!抜いて・・!」

「かーわいい顔しちゃって」

軽く頭を押さえられているせいで身体を引いてもその指は抜けなくて
すげぇエロい顔、そう呟いた彼の綺麗な瞳が段々と熱を宿した

「や、め・・っ、怒るよ・・!!」

逃げる舌を捕まえてはいやらしく動かされる指に口内がじんじんと痺れて




おかしく、なりそう


ぼーっとしていく頭に時折鼻を掠める洋酒の香り
苦いチョコレートは私もあまり好きじゃない、そう思うと胸が苦しくなった


「吸ってもイイよ、ゆび」

「もう!か、噛むからね!」

「それはそれで堪んない」

思い切り山田くんを睨むと、その指が私の歯列をなぞる

「・・っ」

徐々に溜まっていく唾液を飲み込もうとすると自然と口が閉じて
ごくりと鳴った喉と不本意にもその指に密着した舌に羞恥心を煽られた


「うわ、その顔やば・・」

そう呟いた山田くんの顔にはもういつもの笑みは浮かんでいなくて
苦しそうな赤い顔がこちらを見つめると、私の口からやっとその指を引き抜いた


「んはぁ・・っ、もう!!ほんっと最低!!」

恥ずかしさが爆発して思い切り叫ぶと
私が濡らしたその指を山田くんが自身の唇に当ててゆっくりと喰む


「な、何してんの!!」

「何してんだろーな」

破裂しそうなほど大きな音を立てた胸の音が身体中に響いた


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