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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第2章 これからもっと好きになる◉轟焦凍



「轟くん、最近毎日怪我してる・・」

月曜の切り傷に始まり、
打撲、感電による熱傷、そして今日は捻挫

毎日種類の異なる怪我をしては
彼は決まった時間に保健室を訪れる

「ヒーロー科って、本当に大変なんだね・・」

少し腫れている足首に氷を当てながらその顔を見上げると、真剣な目が私を見つめた


「そうだな、意外と難しい」

「難しい?」

私がそう聞き返すと
明日は少し大きな怪我になるかもしれねェ、と
彼は考え込むような表情で語った

「あ、でもほら、大きな怪我なら
 リカバリーガールにお願いできるから!」

「だから加減が難しいんだ」

何のことを言っているのかわからなくてその顔を見つめると、氷を持つ私の手にそっと彼が触れた

「ずっと持ってんの疲れんだろ、代わる」

手当てをするために自分から彼に触れることはあっても、轟くんに触れられるのには慣れていない

「あ、ありがとう」

聞こえてしまうんじゃないかと思うほどに煩い胸の音を掻き消したくて、他愛も無い話を積もらせた


「毎日のように氷で冷やしてるけど・・
 寮で自分で冷やしても大丈夫だよ?」

忙しい毎日の中、彼の貴重な時間を奪っている気がしてそんな言葉が零れる
湿布で足りそうな日にも必ず彼は氷で冷やすことを望んだ

「一番長居できるから、気に入ってる」

そう言って彼は自ら足に当てたそれに触れて
可笑しそうに肩を震わせる

それはまるで一緒に居たいと言われているようで

やっとのことで落ち着いてきた鼓動がまた速いリズムを刻み始めた





















「轟くん、いくら何でも無茶だよ!!
 そんなのかっちゃんに言ったら大変な事に!」

演習終わりの体育館、迷いなくアイツを呼び止めた俺を緑谷があたふたと遮る

「絶対にやめた方がいいって!そもそも何で
 毎日怪我しようとするのさ!?」

「黙ってろクソナード・・!
 俺にやれねェことなんかねェ殺すぞ!」


あまり深く考えずに人選したが
緑谷の言う通り軽症では済まないかもしれねえ


「忘れてくれ、悪かったな」

重症になっちゃ意味がねェんだ、そう呟くと爆豪の目がいつも以上に吊り上がった


「ああ!?てめェの予想を遥かに超える
 完璧な出来にしてやンよ半分野郎がァ!」

「できんのか」

「リクエスト言えや叶え殺したらァ!」

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