第19章 STUCK ON YOU◉轟焦凍※
白く細い手首にうっすら付いた赤、あまりに情けなくて目の前が暗くなる
冷気の混じる溜息が口から漏れると右手に温かな感触、身体を起こした彼女が優しく手を重ねた
「俺、また、」
「・・私があんまり妬かないのは、」
愛されるのに忙しいからかな、そう戯けて俺を見上げた優しい瞳、言った側から淡い色に染まる頬が愛おしい
「嫌になるよな」
「まさか」
耐えられるかは別として、そろそろ愛想を尽かされても仕方がないと何度自身に言い聞かせてきたか知れない
「こんなに想ってるのに」
伝わってないかなぁ、すりすりと身を寄せた彼女が指先を絡めるとあっという間に上がった体温
「好きで、おかしくなっちまう」
「心配しなくていいのに」
わかってる、それでも一日も早く彼女を自分のものにしたくて、俺にしか許されない行為、見られない表情を、
「・・・今日は、諦める」
自分への嫌悪で漏れ出た溜息、ごろんと仰向けになり腕で視界を塞ぐと淡い暗闇が俺を落ち着かせて
目を瞑ると香った彼女のシーツ、肺いっぱいに甘い香りを吸い込んだ
「ふたりで蕎麦でも食い行くか」
そう言いかけて腕を退けると目の前に近づいた彼女の顔、初めて見るほど赤くなった顔が恨めしげに俺を見つめていた
「・・勝手すぎる」
珍しくむっとした表情、睨んだ瞳とチクリとした言葉に胸が嫌な音を立てる
「そ、そうだよな、悪い」
騒つく不快な胸の音が頭に響いて、慌てて起きあがろうと手を付いた俺の肩を彼女がシーツへと押し戻した
「その気にされた、私は・・?」
もじもじと擦り合わせた脚が俺の制服に触れると、胸に這わされた華奢な手
脇腹を滑った指先に腰を撫でられると思わず漏れ出た息、飲み込むように我慢した自身の声が耳に届く
「・・っ、めぐ・・っ」
「お蕎麦、いらない」
冷静で居られるはずがない、湯気の出そうなその顔を掴んで呼吸ごと唇を貪る
長い髪がさらりと俺にかかって、跨る彼女のスカートの中へ手を忍ばせると甘い声が漏れた
「んぁ・・っ」
「誘われると」
こんなに嬉しいんだな、残りのボタンを外し唇を寄せれば彼女はくしゃりと俺の髪を撫でる
這わされた片方の手がベルトに触れると、思わずぴくりと腰が浮いて
「っ、は」
「ネクタイ欲しかったのに・・、ばか」